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2012/05/21

炎天下で原則作業中断も 厚労省が建設業向け熱中症対策

 炎天下時の作業中断も―。厚生労働省は、2011年に全業種最多となる7件の熱中症による死亡災害が発生した建設業に対し、予防対策を重点的に実施することを決め、18日付で都道府県労働局長に通達した。7〜8月にWBGT値(暑さ指数)が基準値を大幅に上回る場合、午後2時〜5時に原則作業を行わないことも含めて作業時間を見直したり、朝礼で健康状態に問題があることを確認した作業員の作業場所変更などの措置をとるよう求めている。
 建設業では、記録的な猛暑となった2010年に前年度の3倍を超える17人が死亡。11年の死亡者は7人にまで減少したが、全業種に占める割合は約4割と最多。建設業は炎天下の高温多湿な環境での作業が避けられず、突出して死亡災害が多い状況が続いている。
 建設現場での交通誘導作業に従事していた警備業でも、11年に2件の死亡災害が発生しており、厚労省は建設現場に付随する警備業を含めて、建設業への今夏の熱中症予防対策を重点的に実施することにした。
 都道府県労働局に指示された建設業の熱中症予防対策では、事前にWBGT値の基準を超えることが予想される場合、直射日光や照り返しを遮る簡易な屋根やスポットクーラーなどを使用し、単独作業を避けたり、連続作業時間を短縮するなどの作業計画の見直しを求めている。
 特に、作業時間については7〜8月の午後2時から午後5時までの炎天下でWBGT値の基準を大幅に超える場合には、原則作業を中断することも含めて対応を求めた。朝礼時に、睡眠不足、体調不良、発熱・下痢などの状態が顕著に見られる作業員については、作業場所の変更や作業転換などの対策も促している。
 また、高温多湿の作業場所で初めて作業する作業員については、7日以上かけて熱への曝露期間を長くする「順化期間」の設定も重要だとした。
 人体の熱収支に影響の大きい湿度、輻射熱、気温の三つを取り入れた指標であるWBGT値は、6月1日〜9月30日の期間、国立環境研究所のホームページ(http://www.nies.go.jp)で予測値や実況値を掲載する。

提供:建通新聞社