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2012/07/10

CIM実用化へ直轄で下半期にモデルPJ

 3次元オブジェクトを活用した「CIM」(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)の実用化に向け、官民の動きが加速している。7月4日には日本建設情報総合センター(JACIC)が中心となって、建設関係団体などで構成する「CIM技術検討会」を発足させ、技術的な検討に乗り出した。国交省も直轄事業でのCIM導入を見据え、制度面や基準面の在り方を検討する内部の検討組織を8月にも立ち上げる。2012年度下半期には、全国で数カ所程度のモデル事業を試行する方針だ。
 CIMは、コンピューター上に作成した3次元モデルの構造物に部材の数量やコストなどの属性情報を盛り込むことで、建設生産システム全体を効率化しようというもの。建築分野で活用が進むBIMの土木版という位置付けだ。
 CIMが実用化されれば、設計ミスや手戻りの削減、積算ミスの防止、設計・施工の最適化といった効果が期待される。その一方、調査・設計・積算・施工・維持管理などの責任分担や、求められる技術・人材の在り方などに大きな変化が生じる可能性が高い。
 このため、JACICの呼び掛けにより、CIMと関わりの深い民間団体で構成する検討会を新設。技術的な課題を整理した上で、その解決に向けて必要となる取り組みを検討していくことにした。
 主な検討事項は、CIMに関する▽具体的なイメージの明確化▽導入効果▽設計、施工、維持管理に関する技術開発の方向性▽実用化に向けた人材育成方針▽試行事業のサポート体制、試行結果のフォロー▽建設生産システムの改良点、基準などの見直し―などを想定。検討に当たっては、「基本問題・データモデル・属性WG」「計測技術・情報化施工WG」の二つの作業部会を設ける。
 構成員はJACICに加え、▽先端建設技術センター▽日本建設機械施工協会▽建設物価調査会▽経済調査会▽国土技術研究センター▽日本建設業連合会▽全国建設業協会▽建設コンサルタンツ協会▽全国測量設計業協会連合会▽全国地質調査業協会連合会―の担当者を予定。国交省や国土技術政策総合研究所、国土地理院、土木研究所はオブザーバーとして参加する。また、個別の建設会社やコンサルタント会社、ITベンダー企業などからは必要に応じて意見を聴取する。
 こうした民間主体の取り組みと並行して国交省は、直轄事業での導入に向けた検討を進める。まずCIMを活用しやすい環境を整えるため、諸制度や基準類の見直しに向けた検討組織を設置する。さらに、CIMで活用が想定される情報を全て組み込んだ「先導的モデル事業」と、建設生産システムの効率化に役立つ「一般モデル事業」の2種類のモデルプロジェクトを12年度下半期から試行していく。

提供:建通新聞社