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2012/07/30

住宅着工と建設労働者不足に相関関係  経済財政白書

 建設労働者不足と住宅着工戸数に相関関係―。政府がまとめた2012年度の経済財政白書は、東日本大震災後の住宅着工の動きに注目し、着工戸数の上昇に合わせて建設労働者の不足率が高まると分析。2011年央以降の不安定な着工戸数の動きと建設労働者不足との関係性を指摘した上で、今後の被災県などの住宅需要の増加に対し「労働不足問題が一層顕在化することに注意が必要だ」と警戒感を示した。
 11年の住宅着工戸数の傾向を見ると、震災後に生じた建設資材の供給制約などから着工戸数の伸びが鈍化したが、第3四半期には住宅エコポイントなどの駆け込み需要で回復。第4四半期には反動でいったん減少したものの、12年第1四半期には再び持ち直しに転じ、年率86万戸程度となった。
 白書では、こうした震災後の不安定な着工戸数の動きと建設労働者不足との関連に注目し、着工戸数の上昇に合わせて建設労働者の不足率が高まる傾向があると分析した。建設労働者の過不足を示す「建設労働過不足率」が0%を超えて不足感が増すと、着工後の工期が延びたり、労務費が上昇することも考えられるとした。
 08年のリーマンショック以前に年間117万戸弱だった住宅着工戸数が、09年以降は83万戸程度に減少しており、建設労働過不足率0%に対応する戸数も同様に減少しているとも指摘。今後、これまで以上に被災地の復興需要が高まると、特定職種などの労働不足問題が住宅着工戸数の足を引っ張る可能性を懸念している。
 また、今後の住宅着工戸数については、単身世帯や高齢世帯の増加などの動向を踏まえ、2020年度前後に65〜90万戸程度になるとみている。

提供:建通新聞社