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2012/08/24

「法定福利費以外の経費削減」に懸念の声

 国土交通省は、社会保険未加入対策の推進に当たっての課題と対応の方向性をまとめた。この中で「法定福利費を内訳明示すれば、労務費が逆算できてしまい、法定福利費以外の経費が削られてしまうことになりかねない」という懸念に対しては、「注文者が一方的に法定福利費以外の経費を必要以上に削る行為は建設業法に違反する恐れがある」との認識を提示。こうした考え方を盛り込んだ文書を社会保険未加入対策推進協議会(推進協議会)の構成員に23日付で送付した。
 社会保険未加入対策は、技能労働者の適正な雇用環境と建設業の健全な競争環境を確保することが狙い。建設業許可・更新時の保険加入状況の確認・指導や、元請けによる下請け指導の徹底などが柱となっている。国交省は、これら施策の推進には行政・発注者・元請け・下請け・労働者などが一体となった取り組みが不可欠とみて、幅広い主体で構成する推進協議会を本年5月に設置した。
 今回の課題と対応は、7月30日の協議会WG(非公開)で交わされた議論の中から主な項目を抽出したもので、▽社会保険加入促進計画▽専門工事業団体による標準見積書の作成▽法定福利費の内訳明示▽社会保険未加入対策全般―で構成している。
 社会保険加入促進計画をめぐっては、「(建設関係)団体の会員企業以外の者や、例えば、雇用関係にはないものの社員のような扱いをしている技能労働者についても、保険加入状況を確認することが望ましい」とした。
 また、法定福利費の内訳明示に対しては、▽受注が決まるまでに内訳を細かく計算することに果たして意味があるのか▽請負金額の総額が増えなければ、例え内訳明示が進んでも法定福利費を支払ったとする元請けのアリバイ作りにしかならない▽内訳明示すれば、労務費を逆算できてしまい、法定福利費以外の部分が削られることになりかねない―といった疑問や懸念が示された。
 これに対し国交省は、「見積もり時に法定福利費の内訳を明示できなければ、その後の契約・清算時にも内訳明示することは難しくなる。法定福利費を支払う必要があるという意識を、元請けをはじめとした関係者間で醸成するとともに、必要不可欠な経費として着実に受け渡される端緒となる」と内訳明示の意義を強調。その上で、発注者や元請けに対し法定福利費の確保・支払いを今後も働き掛けていく姿勢を明確化した。

提供:建通新聞社