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中央ニュース

2012/09/11

中小・中堅の海外展開支援を大幅強化 国交省

 国土交通省は、2013年度から中小・中堅建設業の海外展開支援を大幅に強化する方針を固めた。海外建設分野で豊富な経験を持つゼネコンOBや外国人技能実習生などの情報をデータベース化する「海外建設従事者人材バンク」に加え、海外進出に役立つ情報を盛り込んだ「海外建設市場データベース」の構築を想定。海外進出を検討している経営者を対象とした「海外展開経営塾」の開催や、優良海外進出事例に対する「海外進出モデル事例大臣表彰制度」の創設も見込んでいる。
 日本の海外建設受注高は、07年に過去最高の1兆6813億円を記録したものの、その後はリーマンションの影響などで伸び悩みが続いている。こうした中、政府が本年7月に閣議決定した日本再生戦略では、20年までに実現すべき成果目標として「建設業の新規年間海外受注高2兆円以上」を掲げた。
 この目標達成に向けて国交省は、特に海外展開のノウハウに乏しい中小・中堅建設業に対する支援が必要と判断し、▽海外建設従事者人材バンク・海外建設市場データベースの構築▽海外展開経営塾の開催▽海外進出モデル事例大臣表彰制度の創設▽官民一体の現地協議会の立ち上げ―といった取り組みを展開することとした。そのための必要経費として13年度予算の概算要求に前年度比3・8倍増となる2億3200万円を盛り込んだ。
 このうち、海外建設従事者人材バンクは、海外建設分野で豊富な経験とノウハウを持つゼネコンOBや、日本式施工能力を備えた外国人技能実習生・海外留学生の情報を収集し、人材バンクに登録。中小・中堅建設業や専門工事業者から照会があった場合には、登録情報の一部を提供する。また、建設市場データベースは、建設需要が旺盛な諸外国のビジネス環境や入札制度、トラブル情報など海外進出に有益な情報を提供する仕組みを視野に入れいている。
 海外展開経営塾は、地方単位で開催し、1会場当たりの参加人数は20人程度に絞る。海外に積極的に進出している地域建設業の経営者が講師を務め、海外進出のきっかけやハードル、海外で成功するための秘けつなどを語ってもらう。経営者同士の意見交換などを通じて、海外展開への意欲を醸成していく狙いだ。
 海外進出モデル事例大臣表彰は、海外プロジェクトに積極的にチャレンジし、海外進出を果たしている地方・中小建設業を適切に評価し、優良な海外進出事例を表彰する。
 また、シンガポール、インドネシア、タイ、ベトナムといった日系進出企業が多い国で、官民一体の協議会組織を立ち上げ、建設業の海外進出環境を整備する取り組みにも乗り出す考えだ。

提供:建通新聞社