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2012/09/13

《煙突用石綿断熱材の飛散を確認 メンテナンスでのばく露心配

 NPO法人東京労働安全衛生センターと、中皮腫・じん肺・アスベストセンターは9月12日、「煙突頂部と下部の灰出し作業で、煙突用石綿断熱材から石綿(アスベスト)が飛散することを確認した」と発表した。両センターは「煙突用石綿断熱材は、ボイラーや非常用発電機などの燃焼設備のある鉄筋コンクリート造の建物で使用されているケースが多く、特にコミュニティセンターなどの公共施設や学校施設、病院、ホテルなどでの使用例が多い」と指摘。「煙突用石綿断熱材の使用状況調査を行う必要がある。煙突のメンテナンス作業などでの石綿ばく露が懸念される」と警鐘を鳴らしている。
 東京労働安全衛生センターは、煙突用石綿断熱材の中にはアスベスト含有率が高い製品がありながら、建築基準法の規制対象の建材になっていない現状を踏まえ、独自に飛散性の調査を行ってきた。
 調査は▽煙突の使用▽清掃(メンテナンス)―それぞれの状況を想定。解体予定の煙突に温風を通過させる模擬実験を行ったり、ボイラーマンの作業環境を設定した上でアスベスト繊維濃度を測定。その結果、すべての測定でアスベスト繊維が飛散していることを確認したという。
 国土交通省の調査でも、すでに煙突用石綿断熱材を使用した機械室などでアスベスト繊維が飛散していることが確認されており、同省は3日に開いた社会資本整備審議会・アスベスト対策部会で、「2012年度下期に煙突用石綿断熱材の飛散性について重点的に調査し、建築基準法の規制対象とするかどうか判断する」との方針を示している。
 今回の調査結果を重く見た東京労働安全衛生センターは、神奈川大学(横浜市)で14日に開かれる大気環境学会で、詳細な調査結果とその考察について発表し、「煙突用石綿断熱材の危険性を啓蒙。ばく露防止につなげたい」と話している。
 
提供:建通新聞社