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中央ニュース

2012/09/18

地籍整備促進へ 民間事業者に直接補助

 国土交通省は、2013年度に地籍調査の促進に向けた取り組みを強化する。民間の宅地開発などで作成された測量成果を地籍整備に活用する場合、民間事業者に対し地籍整備推進調査費補助金から測量費などを直接補助する仕組みを整える。こうした測量成果を地籍調査と同等に扱うことができる大臣指定制度の手続きを円滑化するためのマニュアルも策定する。東日本大震災の被災地での地籍整備や、防災関連事業と連携した地籍整備にも重点的に取り組んでいく方針だ。
 地籍調査は、一筆ごとの土地の境界や面積、所有者などを明確化し、登記簿に正確な地図情報を反映させるもの。市町村が実施主体となって取り組んでいるが、その進捗率は11年3月末時点でようやく5割に達したのが現状で、地域差も大きい。
 地籍が不明確なままだと、都市部では公共事業や民間開発などの障害となる場合が多い。六本木ヒルズでは、事業地域の地籍調査が未実施だったため、境界調査に4年の歳月を費やし、事業を長期化させる一因になった。山村部でも、境界情報が失われると、路網整備や間伐などに支障が生じる恐れがあるという。
 このため国交省は、13年度予算の概算要求に地籍整備関係経費として前年度比6・2%増となる155億6700万円(全国防災、復興関係経費を含む)を盛り込み、地籍整備を加速させていくことにした。
 具体的な取り組みとしては、民間開発や公共事業に伴って作成された測量成果を活用するための「地籍整備推進調査費補助金」を拡充する。これまで民間事業者に対しては、自治体を通じた間接補助を実施してきたが、必ずしも利用が進んでいるとは言い難かった。このため国が直接補助する仕組みを導入し、全国一律の支援体制を構築する。
 また、地籍調査以外の測量成果を、国土調査法に基づき大臣が指定すれば地籍調査と同等に扱う仕組みを民間事業者などに幅広く活用してもらうため、手続きなどを解説するマニュアルの整備にも取り掛かる。
 東日本大震災で被災した地域のうち、地籍調査が未実施の地域では都市部官民境界基本調査を直轄事業として重点的に推進し、地籍調査を実施中・実施済みの地域では測量成果の補正や再調査などに取り組む。また、全国防災の観点から、被災時の緊急医療活動や物資輸送に不可欠となる道路整備などの防災関連事業と連携した地籍整備に対して、都市部官民境界基本調査や地籍調査費負担金などの支援を優先させていく考えだ。

提供:建通新聞社