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2012/09/20

12年の基準地価 下落率が縮小傾向

 国土交通省は、2012年都道府県地価調査(7月1日時点)の結果を公表した。11年7月から1年間の全国地価平均変動率(全用途)は、前年のマイナス(▲)3・2%から▲2・7%へと下落率が縮小し、上昇・横ばいの地点数も大幅に増えた。地価公示(1月1日時点の調査)との共通地点を使って半年ごとの地価動向を見ると、東日本大震災があった11年1月〜6月に拡大した下落率が7月〜12月には縮小し、12年1月〜6月ではさらに縮小傾向が強まった。
 用途別では、低金利や住宅ローン減税といった住宅需要の下支え要因もあり、住宅地は前年の▲3・2%から▲2・5%に下落率が縮小。商業地も新規供給の一服感やJ-REITによる積極的な不動産取得などを背景として、▲4%から▲3・1%へと下落傾向が弱まった。調査地点ごとに地価の動きを見ると、全用途の上昇地点は658地点と前年の88地点を大きく上回り、横ばいも前年の863地点から1972地点へと増えた。
 地域別では、三大都市圏の住宅地が▲1・7%から▲0・9%、商業地が▲2・2%から▲0・8%となった。地方圏の住宅地は▲3・7%から▲3・2%と4年ぶりに下落傾向が弱まり、商業地も▲4・8%から▲4・1%と同様の傾向を示した。
 東日本大震災の被災地では、宮城県で浸水を免れた高台の住宅地などに対する移転需要が高まり地価の上昇地点が見られたほか、石巻市、東松島市などでは住宅地・商業地の全体で上昇した。岩手県では宮古市、釜石市などが住宅地全体で上昇し、福島県も前年より下落率が縮小した。
 ことし1年間の地価変動率を前半と後半に区切って比較すると、全国平均では住宅が▲0・9%から▲0・6%、商業地が▲1・2%から▲0・8%へと、後半に入って下落率が縮小した。こうした結果を背景に国交省は、「不動産市場は回復傾向を示している」と指摘。その一方で「円高や欧州債務危機などの先行き不透明感による地価への影響が見られる」点にも言及している。

提供:建通新聞社