トップページお知らせ >中央ニュース

お知らせ

中央ニュース

2012/09/20

発注者責任の明確化 石綿測定の中立性確保 大防法改正の中核的論点に

 環境省・石綿飛散防止専門委員会の浅野直人委員長(福岡大学法学部教授)は、19日に開いた中央環境審議会大気環境部会で同省が行った石綿(アスベスト)飛散防止対策強化の検討状況の説明を補足し、「(法改正に当たっては)発注者の定義を明確にした上で、責任の所在を明らかにする必要がある」との認識を示した。また、石綿の濃度測定の中立性と精度を担保することの重要性についても言及。法改正に向けた中核的な論点になることをうかがわせた。
 浅野委員長は、7月に同専門委を設置してからこれまで7団体・2法人・2地方公共団体・3個人に行ったヒアリングの結果、「アスベスト対策の現状には多くの課題があることが分かった」と発言。「建築物などを解体してしまえば、飛散したという証拠が何も残らないという指摘もあった」と話し、有識者の多くから「(飛散防止の徹底には)費用負担の裏付けが不可欠」との意見があったことを紹介した。
 その上で、土壌汚染対策法を立法化した際の議論を踏まえ、「オーナーが第一義的に責任があることに変わりはない」と指摘。有識者からのヒアリングを終えた段階であり、議論はこれからだと断りつつ、「発注者と注文者との定義を明確にして、発注者のアスベスト対策における責務規定を
発注者の規模や能力にも配慮しながら検討する必要がある」との認識を示した。
 一部の委員からは「すでに石綿障害予防規則は発注者の努力義務を規定している。大防法まで発注者に負担を掛けることは避けるべき」との意見が出たが、浅野委員長は「労働安全衛生法で規定されているから、大防法での規定は必要ないということにはならない」と述べ、強い口調でこの意見を一蹴した。

提供:建通新聞社