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2012/11/09

「いい仕事が次の受注につながる仕組みを」 国交省・菊川技監

 国土交通省の菊川滋技監は建設専門紙記者会との懇談に応じ、入札契約制度について「総合評価方式は複雑化しており、受発注者双方に負担が掛かっている。その是正に向けて、競争性・透明性を確保しつつ、施工実績を重視するタイプと技術力を重視するタイプに二極化する手法を拡大していくことが重要」との認識を示した。企業評価の在り方をめぐっては「いい仕事をした企業が次の受注につながる仕組みを考えていく。工事成績だけでなく、地域で従業員や建機を抱え、除雪など地域の維持に取り組む企業の評価も必要だ」と述べた。
 技術開発の方向性については、「国交省の技術基本計画が近くまとまる。単に技術を開発するだけでなく、技術を事業や政策にどう活用していくかまで踏み込んだ点が最大のポイントだ。この計画に沿って、行政全体を効率化するための技術を開発してほしい」との期待感を示した。
 維持管理・更新への取り組みとして菊川技監は、「社会資本が高齢化する中で、ストックを効率的に維持管理するためのマネジメントの仕組みを構築していく。新設もやることがあるが、維持管理・更新への備えが必要だ」と強調。「まず社会資本の実態把握が不可欠。特に基礎的自治体の社会資本がどれくらい傷んでいるか、耐用年数はどれぐらいかを早急に明確にしなくてはならない。その上で、まだまだ改良の余地がある補修修繕の技術開発に力を注いでいく」とも話した。
 発注行政の視点からは「地域建設業は東日本大震災で大いに活躍してくれた。災害で最初に動く地域建設業が安心して仕事ができる環境を整備しなければならない」と指摘。また、「出先の出張所に行くと、職員がペーパーワークに忙殺されている。ICTを活用することを通じて、双方の業務を効率化できる部分があるのではないか」との問題意識を示した。
 社会資本整備の在り方に対しては、「日本の歴史の中で、新設投資が集中したのは、ここ50〜60年のことであり、それまでは構造物を大切に長く使うことが主流だった。社会資本整備は造ることが目的ではなく、国民の命や国土を守ることがミッション(使命)。今こそ原点に戻ることが求められている」と訴えた。

提供:建通新聞社