国土交通省は、下請け代金の適切な支払いや施工管理の徹底を促す、いわゆる「盆暮れ通達」を3日付で建設業団体などに送付した。今回は、下請け代金の適正な見積もりに向けて、専門工事業団体が作成した法定福利費を内訳明示した標準見積書を活用・尊重することを新たに盛り込んだ。また、東日本大震災の被災地で事故が増加していることを踏まえ、施工管理をより一層徹底するよう求めた。
土地・建設産業局長名の「下請契約及び下請代金支払の適正化並びに施工管理の徹底等について」は、資金需要が増す夏季と冬季に毎年2回、建設業団体(100団体)や都道府県に宛てて発出している。
見積もりをめぐっては、工事現場での工程管理や品質確保、安全管理などの施工管理が適切に行われるよう必要な経費に十分留意するとともに、賃金などに加えて一般管理費などの必要な諸経費も考慮するよう要請。また、本年度から社会保険未加入対策を本格化させていることを踏まえ、法定福利費を内訳明示した標準見積書の活用・尊重を求めた。
契約に際しては、書面による着工前の契約を徹底することや、契約書に具体的な工事内容、適正な請負代金・支払い方法、着工・完工時期、設計・工期の変更などに関する定めを明記することが必要とした。元請け・下請け双方の合意がないまま、元請けが一方的に下請代金を決める「指し値発注」を行わないことなども明確化した。
下請け代金の支払いについては、手形期間を120日以内のできるだけ短い期間にすることや、下請けに対し必要な費用を前払金として適切に支払うことを要請した。
施工管理の徹底に向けては、公衆災害や労働災害の防止、建設生産物の安全性・品質の確保の観点から、適切な施工計画書の作成や工事現場での施工体制の十分な確保などを明記。特に東日本大震災の被災地で事故が増加している点を重くみて、施工管理をより一層徹底する必要性を指摘した。
下請けへの配慮事項としては、下請契約の締結に際し法定福利費や建設業退職金共済制度に基づく事業主負担額といった必要な諸経費を適切に考慮するとともに、下請けの資金繰りや雇用確保に十分配慮するよう求めた。
提供:建通新聞社