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2012/12/06

発注者責務規定を強化、事前調査を義務付け 環境省の石綿専門委が中間報告

 大気汚染防止法の改正を視野に入れ、石綿の飛散防止対策の強化について検討している環境省の石綿飛散防止専門委員会(浅野直人委員長)は5日、これまでの検討を中間報告としてまとめた。発注者責務規定の強化、事前調査の義務付け、立ち入り調査対象の拡大などを打ち出す一方、大気中濃度測定の測定基準や測定方法、周辺環境へ石綿が飛散することを防止するための管理基準などについては検討を継続することとした。
 中間報告は、適切な石綿の飛散防止対策の実施を図るためには「発注者が石綿の飛散防止対策の重要性・必要性を十分に理解した上で、適切な特定工事を実施できる施工業者に適正な価格で発注することを確保することが重要」と指摘。発注者責務規定の強化の方向性として▽発注者に事前調査の主体としての義務を負わせる▽特定粉じん排出等作業の実施の届出の主体を施工業者から発注者に変更すること―などが考えられるとした。
 懸案となっている事前調査については大防法で義務付ける必要があると明記。建設リサイクル法では、解体、改修などでの事前調査が事業者に義務付けられているとして、大防法での実施主体を工事を請け負う建設業者とすれば、他の関連法に基づく事前調査の実施主体と齟齬(そご)がないとの認識を示した。
 その上で▽発注者に対し建設業者または調査機関に事前調査を実施させることを義務付ける▽事前調査の義務者は工事を請け負おうとする建設業者とし、必要に応じ調査機関に事前調査を委託できるようにする―ことなどが考えられるとした。
 立ち入り調査権限の強化については、「『特定粉じん排出等作業実施届出』が提出されていない建築物の解体・補修現場は、特定工事に該当することが判明していない限り、大防法による立ち入
り検査の実施は困難」との現状認識を示し、作業基準の順守を求めるためには、都道府県などの立入検査権限の対象を拡大すべきだと強調。建リ法では、80平方b以上の建築物の解体工事について届出を求めていることから、この届出を都道府県などの関係者間で共有することを提案した。
 ただ「特定粉じん排出等作業」に明らかに該当しない解体・改造・補修工事も一律に事前調査義務を課すのは適切ではないとして、義務付けの対象か否かを判断するための具体策を今後検討する必要があるとの認識を示した。
 
提供:建通新聞社