国土交通省は、直轄事業で新たな検査方式「第三者品質証明制度」を本年度中に試行する。施工者と契約した第三者が、きめ細かやかな現場確認によって工事実施状況や出来形をチェックした上で品質を証明する仕組みの構築によって、工事の品質確保や受発注者間の役割の明確化を促進していく考え。試行に当たってのガイドラインを12月中に各地方整備局などに通達する方針だ。
直轄工事の施工管理をめぐっては、施工者の社内技術者が品質を証明する「品質証明員制度」を2006年に導入したものの、十分に活用されているとは言い難い。08年に試行を始めた「施工プロセスを通じた検査」に対しても、業務負担の増加を指摘する声が受発注者双方から上がっていた。このため国交省は、工事の品質確保に向けた新たな取り組みが必要と判断し、第三者による品質証明の導入を目指すこととした。
第三者品質証明制度では、原則として発注者がすべて担ってきた検査業務のうち、工事実施状況、出来形、品質の確認を、施工者と契約した第三者に委ねる。品質証明の内容は、国交省がまとめる「品質証明チェックシート」で確認項目・頻度を明確化する。例えば、工事実施状況は品質に重大な影響を及ぼす工種に限定するものの、該当する工事が行われている場合は毎日確認することを求める(週3日以上同様の施工が行われている場合は週2回)。
第三者の要件は、施工プロセス検査で品質検査員に求めた資格(技術士、一級土木施工管理技士、二級土木施工管理技士など)に加え、技術者としての経験が20年以上あり、国交省発注工事の監理技術者・主任技術者、または総括監督員・主任監督員・技術検査官を務めた経験が必要となる。第三者の選定方法は、試行では▽発注者がリストアップした者の中から施工者が選定▽施工者が選定した者を発注者が確認―のいずれかの手法を地方整備局が選択するが、将来的には国交省が認めた資格認定機関が第三者の資格を認定することを視野に入れている。
第三者の単価は、「設計業務委託等技術者単価」の設計業務で技師(B)相当とし、臨場日数などを含んだ積算方法をガイドラインで明示する。第三者への費用の支払いを担保するため、施工者と第三者の契約書を提出させ、完了時は実績により清算する。国交省では「第三者を都道府県単位で組織化することも適切な支払いの確保に有効」とみている。
提供:建通新聞社