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2012/12/27

官庁施設で「津波防災診断」を実施へ 国交省

 国土交通省の社会資本整備審議会建築分科会官公庁施設部会は26日、大津波を想定した官庁施設の機能確保に関する答申案を大筋で固めた。当面実施すべき施策として、既存官庁施設を対象とした「津波防災診断」の実施や、関係する技術基準類の拡充、施設運用管理(ソフト)と連携した施設整備の推進などを提言。これを踏まえ国交省は2012年度中に官庁営繕基準類を改定するとともに、「官庁施設の津波防災診断指針」(診断マニュアル)をまとめ、各府省に通知する方針だ。
 東日本大震災では、防災対策の拠点となるべき官庁施設の機能が津波により失われたり、長周期地震動で不具合が生じるといった問題が起こった。こうした教訓を踏まえ官公庁施設部会はことし4月から、大津波を想定した官庁施設の在り方について検討を続けてきた。
 今回の答申案では、既存官庁施設の津波対策の考え方として、代替拠点の確保や安全な避難場所の設定といった施設運用上の対策(ソフト)と、現地建て替え、移転新築、上階への重要室配置、構造の耐浪性確保、止水板の設置などの施設整備上の対策(ハード)を個別、または組み合わせて実施する必要性を指摘した。施設整備に当たっては、官署の入れ替えなどを含めファシリティマネジメントの視点から検討するよう求めた。
 津波対策を講じる際のフローも明確化した。具体的には、官庁施設の所在地が津波浸水地域であれば、「津波防災診断」を実施。その上で、対津波機能の目標を達成していないことが確認された場合、立地条件や既存施設の状況を踏まえ▽施設運用管理を主体とした対策▽改修を主体とした対策▽新築(建て替え)を主体をした対策―の方向性を判断する仕組みを想定している。
 こうした取り組みを実現するため国交省では、「官庁施設の総合耐震計画基準」「官庁施設の基本的性能基準」などを12年度中をめどに改定。診断マニュアルと併せ、各府省に通知する。
 施設管理者である各府省は13年度以降、津波防災地域づくり法に基づく警戒区域内の施設に対し、診断マニュアルに基づき津波防災診断を実施した上で、必要な対策を検討していくことになる。

提供:建通新聞社