公営住宅の設置者などでつくる「公共住宅事業者等連絡協議会」は26日、既設エレベーターへの戸開走行保護装置の設置について、エレベーターメーカー10社と意見交換会を開いた。公営住宅のエレベーターへの戸開走行保護装置の設置促進に向け、エレベーターメーカーの生産調達・施工人員・工期などの体制や技術開発の状況などについて意見交換した。
10月31日に金沢市内で発生したエレベーター死亡事故をめぐり、国土交通省は戸開走行保護装置の設置促進や設置済みマークの活用について、特定行政庁や関係団体に要請した。
国交省の調査によると、公営住宅にあるエレベーター2万5479基のうち、9割強に当たる2万3400基で同装置が未設置の状況にある。ただ、既設エレベーターの改修工事には、機種によっては、既設主要機器(巻上機、制御盤)の一式交換が必要となるなど、工事が大規模になるため、コスト高や工期の長期化などの課題がある。
同協議会は意見交換会で、改修工事を早期に実施する際に課題となる▽メーカー側の対応許容量(部材機器の生産・調達、施工人員、工期)▽機種ごとの対応手法の選定▽技術開発・商品開発▽工事期間中の安全対策―などを聞いた。
出席したメーカーの担当者らは「設置年代が古い機種は部品供給が困難になる。そこに対応した商品開発を進めている」「居住者の利便性を確保するため、時間帯で工事を休止するなどの対応を講じている」などと回答。ただ、既存エレベーターの改修工事に関する開発状況に関して明確な回答はなかった。
同協議会では、意見交換会での議論も踏まえ、改修の優先順位付け、予算化、施工中の入居者対応などの措置を検討するとしている。
提供:建通新聞社