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2013/02/01

シールド事故再発防止へ 設計・施工の注意事項 国交省

 国土交通省の「シールドトンネル施工技術安全向上協議会」は31日の会合で、2012年2月に倉敷市(岡山県)のシールドトンネル工事現場で発生した事故の再発防止に向けて、シールド設計・施工時の注意事項をまとめた。セグメントの浮き上がりが懸念される場合はセグメントの継手、裏込め注入方法を適切に選定することや、急曲線施工ではセグメント本体や継手の損傷を防止するため十分に対策を講じることなどを求めている。
 JX日鉱日石エネルギー水島工場の海底トンネル工事で発生した事故では、掘削中のシールドトンネルに海水が流入し、作業員5人が死亡した。これを重くみた国交省はシールドトンネル工事の安全を確保する手法を技術的に検討するため、有識者らで構成する協議会を12年4月に設置。同7月には再発防止に向けた当面の対策をまとめた。
 今回の注意事項は、シールド工事現場でのトラブル事例やその対応に関するアンケート調査の結果を踏まえたもの。
 具体的には▽軸方向挿入型Kセグメントを採用する場合は、設計段階で抜出しの有無や対策を十分検討し、必要によりKセグメント抜出し現象に対して抵抗力のあるセグメントの継手・形状寸法を採用する▽セグメントの設計はコスト優先の結果、トンネル安全性と品質を犠牲にすることがあってはならない▽設計段階では施工時、完成後のトンネルの浮き上がりに対する検討を行い、施工時ではその確認を常に怠らない▽トンネルの浮き上がりが懸念される場合は、セグメントの継手や裏込め注入方法を適切に選定する▽急曲線施工ではセグメント本体や継手の損傷を防止するため、設計・施工で十分な対策を講じる―ことなどを盛り込んだ。
 国交省は、これら注意事項を関係機関に近く通知する。また、協議会では3月に再発防止策を盛り込んだ中間報告をまとめる。その後、捜査当局の調査などで事故原因が明らかになった段階で、技術基準類の見直しなどを含めた最終報告を行う考えだ。

提供:建通新聞社