政府は12日、日本産業再興・戦略市場創造・国際展開を柱とする成長戦略を閣議決定する。当面5年間を緊急構造改革期間と位置付け、3年以内に民間の設備投資を2012年度よりも10%増加して70兆円に回復させるとし、秋の臨時国会に提出する産業競争力強化法案(仮称)をテコに民間投資と所得の増大よる経済成長を実現する。インフラ分野では、今後10年間のPPP・PFIの事業規模を従来実績の3倍に当たる12兆円に押し上げるほか、インフラ管理の数値目標を示した「インフラ長寿命化基本計画」の策定、ITを活用したインフラ点検・診断システムの構築などの項目も盛り込んでいる。
民間投資の拡大では、緊急経済対策で実施した優遇税制や投資促進補助金などの波及効果で、13年度に2兆円超の底上げが図れるとした上で、当面の3年間で7兆円増やし、リーマンショック以前の民間投資の水準(70兆円)への回復を目指す。
具体的には、産業競争力強化法案を秋の臨時国会で成立させ、生産設備の新陳代謝促進のための支援措置、一般家庭や中小企業が初期費用なしで太陽光パネルや蓄電池を設置できる仕組みなどを導入し、設備投資の増加につなげる。
インフラ分野では、厳しい財政状況にある公共部門を民間に開放するため、PPP・PFIの抜本的な転換を図る。公共施設等運営権の対象拡大、官民連携インフラファンドの創設、収益施設や公的不動産の活用などで、事業規模を12兆円にまで拡大する。国管理空港の民間開放では、14年度に仙台空港で公共施設等運営権を設定して運営権者を公募する。
インフラの老朽化対策にも注力する。今秋までに国としてのインフラ長寿命化計画をまとめて数値目標と工程を明確にするとともに、新技術の活用でコスト縮減を図る。インフラの点検・診断に関しては、集中点検を実施した上でインフラ情報をデータベース化したり、非破壊検査技術などの新技術を導入し、政府調達にも反映させる。
提供:建通新聞社