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2013/07/01

自民・脇氏 入札制度改革「会計法とらわれず柔軟な発想で」

 自民党の公共工事契約適正化委員会で事務局長を務める脇雅史参院国対委員長が建設専門紙の共同インタビューに応じ、国土交通省の「地域の建設産業及び入札契約制度のあり方検討会議」や、来年度以降の公共事業予算の展望などについて考えを語った。脇氏は、国交省の検討会議が示した多様な入札方式の導入などについて「会計法の枠にとらわれず、柔軟な発想で検討してほしい」などと期待感を示した。
 ――国交省は、自民党の公共工事契約適正化委員会と歩調を合わせるように改革を検討している。検討会議の論点整理の評価は。
 「日本の社会資本整備をめぐる環境が悪化する中で、建設企業が持つ本質的な力が失われてきている。こうした建設産業を取り巻く基本的な問題に、国交省がようやく目を向けてくれ、われわれと同じ問題意識で解決策を探ろうとしている。そうした意味で、委員会を設置した意義はあったと感じている」
 ――国交省の論点整理では、中長期的な担い手の確保に配慮する「発注者責務の拡大」を盛り込んでいる。
 「建設業が健全に発展するためには、技術力を維持・育成できる価格で契約し、利益を確保できる環境を整えなくてはならない。技能労働者の処遇改善も必要だ」
 「ただ、これまでの発注者は元請け・下請け間の契約を『民民行為」と捉えて積極的に関与してこなかった。こうした意識が現在の建設産業の惨状を生み出す一因になってしまった。発注者責務の拡大は、以前から政府側に求めていたものだが、発注者が受注者に口を出し過ぎてもいけない。目に余るケースがあった場合に限り、発注者が関与できる法的な根拠を整える必要がある」
 ――検討会議では「発注の平準化」についても議論されているようです。
 「建設企業の経営を安定させるには、発注量の平準化が望ましいのは当然。しかし、これまで発注者は、実際に仕事をする建設業の都合に配慮しようという発想がなく、仕事を出せば受注する建設企業がいるはずだという『傲慢(ごうまん)』な姿勢を貫いてきた」
 「受発注者はコミュニケーションをしっかりとり、お互いの利益になるように考えるのは当たり前の話。例えば、5〜10年の基金を造成し、1年間の予算を標準的に支出できるようにするなど、単年度予算の弊害を解消する施策が求められる」
 ――国交省では公共工事品質確保促進法(品確法)の見直しも検討するようです。
 「私自身は、議員立法である品確法を公共調達全体をカバーする内閣提出法案(閣法)としてつくり直し、グレードアップすべきだと考えている。財務省は大枠としては合意しているようなので、閣法として法改正することに問題はないのではないか。遅くとも来年の次期通常国会で仕上げてほしい」
 ――来年度以降の公共事業予算の展望は。
 「財務省は、財政健全化のために来年度の財政出動はしないと考えているようだが、単年度均衡を目指せばデフレが進んでいくだけで、長期的な財政フレームを持ち、財政が厳しい中でも投資をしなければ税収というリターンはない。デフレ脱却には5〜10年の財政出動は必要だ」
 「社会資本の老朽化などの弊害が生まれている中で、公共事業の規模が不足しているのは明らか。老朽化対策や減災・防災事業など、必要な公共事業を行うという根拠を与えるのが国土強靭(きょうじん)化政策で、このシナリオは今後も変わらないはずだ」

提供:建通新聞社