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2013/07/03

「技術者雇用」評価の仕組みを 国交白書

 政府は2日、2012年度国土交通白書を閣議了解した。今回は、社会の中核を担う20〜30代の若者の働き方などにみられる変化を分析。国土交通行政に大きく関係する建設業の入職者について、若年入職者の減少と高齢化の進展を問題視した上で、特に監理技術者は40歳未満が約1割程度しかいない業種があるなど、若年技術者の確保・育成が急務だと指摘した。このため今後は、技術者を雇用し、施工力のある企業に高いインセンティブを与える仕組みを構築するなどとしている。
 12年度の白書では「若者の暮らしと国土交通行政」を特定テーマとして選択。若者の意識、働き方、住まい方などを分析した上で、国土交通分野における取り組みを示す内容となっている。
 国土交通分野に関連する建設業、運輸業、不動産業の若者の就業状況の変化を見ると、2000年の水準を100とした場合、若者(35才未満)の産業別の入職者数は、不動産業では増減を繰り返しているものの、建設業と運輸業は一貫して減少傾向にあり、特に建設業はこの10年で40・7にまで激減。結果として、建設業の全就業者に占める40才未満の割合は00年の38・9%から33・6%に低下した。
 特に、技術者や技能労働者となる人材の減少は深刻。12年3月31日時点の監理技術者証保有者年齢を見ると、30代の資格者は17・9%と10年前と比べ2・7ポイント下がった。反対に60代の資格者は8・8ポイント増加し、20・7%となっている。
 白書では、技術者の確保・育成について、国交省が技術者の実態把握に向けた技術者データベースの整備を進めてきた経緯を紹介。一方、今後は技術力ある技術者を適正に評価するとともに、技術者を雇用し、施工力のある建設企業にインセンティブを与える仕組みを構築する必要性を訴えている。
 若年者の入職支援については、建設業団体で構成する建設産業人材確保・育成推進協議会などと連携し、出前講座、現場見学会、現場実習、インターンシップ、資格取得支援に加え、建設業の魅力を訴える戦略的広報が必要だとしている。
 また、若年入職者が減少した一因として、技能労働者の就労環境の悪化があるとして、若者が継続して就労できるよう、社会保険未加入対策の徹底を図るとともに、技能労働者が保有する資格や研修履歴などの技能情報の蓄積などを後押しすることも重要だとした。

提供:建通新聞社