社会インフラの高齢化問題への対応を検討してきた土木学会の社会インフラ維持管理・更新検討タスクフォースは2日、「社会インフラ維持管理・更新の重点課題に対する土木学会の取組み戦略」を公表した。今後の重点課題として▽維持管理・更新分野の「知の体系化」▽人材確保・育成▽入札・契約制度の改善―などを挙げ、具体的な取り組みの方向性を明示した。「知の体系化」に向けては、学会内で分野横断的に取り組み、他分野、他業種とも連携と交流を推進。「インフラメンテナンス工学」を確立し、維持管理・更新技術の標準化を進めるとした。また、入札・契約制度では具体的な改善案の一つとして、地域性を考慮した発注の仕組みを構築し、地域に根差した企業が社会インフラのメンテナンスを一定期間実施可能な契約方式のガイドラインを作成するとしている。
タスクフォースの最終報告で重点課題に挙げたのは@維持管理・更新についての「知の体系化」A人材確保・育成B制度の構築・組織の支援C入札・契約制度の改善D国民の理解・協力を求める活動―の五つ。
まず「知の体系化」の具体的な取り組みとしては、学会内で「インフラメンテナンス工学」を定義付け、維持管理・更新のテキスト・ハンドブックを編纂し、人材育成に活用する。
また、学会内で分野別横串的発表の機会を設けるほか、他分野、他業種との交流勉強会、研修会を開催する。各種検査・診断・判定方法などの基準類の整備を支援し、検査・モニタリング手法の改良と活用など、技術開発の方向性について調査研究を実施していく。
人材確保・育成の面では、「インフラメンテナンス工学」の知識・技術を持つ土木技術者が、活躍できるような枠組みの構築を目指すとともに、インハウス技術者が土木学会の活動、特に支部活動に参加しやすい仕組みを作った上で、技術力向上の機会を提供する。
さらにメンテナンス分野の資格の整理・総合化を推進し、土木学会のメンテナンス分野の資格普及を図る。
入札契約制度関係では、▽技術の特徴に応じて活用しやすい調達制度の検討▽PFIやPPPなどを活用した包括的維持管理プロジェクトの契約方式のガイドライン作成▽設計・施工・維持管理や、点検・診断・調査・補修・評価から工事までを一貫して多年度にわたり実施する契約方式のガイドラインの作成―などを挙げた。
提供:建通新聞社