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2013/07/05

技能労働者の賃金水準を調査 国交省「結果に応じ再要請も」

 国土交通省は、2013年度の公共工事設計労務単価の引き上げを受け、現場技能労働者に対する賃金水準調査を7月から開始する。例年行っている「下請取引等実態調査」に賃金水準や社会保険加入状況に関する項目を追加したり、4月以降の直轄工事の落札状況を監視することで、労務単価が技能労働者の賃金に適切に反映されているかどうかの実態を把握する。調査結果によっては、建設業団体に賃金水準の確保をあらためて要請するなど、必要な対策を講じるとしている。
 13年度の労務単価が全国全職種平均で前年度比15・1%増加したことを踏まえ、ことし4月に太田昭宏国交相は建設業4団体のトップらと会見し、技能労働者の賃金引上げを要請した。この会見の場で太田国交相は、技能労働者の賃金に新労務単価の反映状況について、きめ細かな実態調査を行う考えを表明していた。
 7月から開始する調査は、まず全国の建設業者約1万8000業者を対象に実施する下請け取引等実態調査に、技能労働者の賃金水準や賃金水準を確保するための問題点などの設問を追加。ことし4月以降に雇用する技能労働者の基本給や毎月の手当を引き上げたか、引き上げた場合の上昇幅などについて尋ねる。4月以降に受注した工事の請負契約額が増額したかどうかも聞く。
 また、賃金を引き上げていない業者に対しては「発注者・元請けが引き上げに応じない」「引き上げ額を赤字補填や運転資金に充当している」「他社との競争上引き上げられない」「既に相場より高い賃金を払っている」などの項目から、複数を選択するよう求める。
 加えて、4月以降に発注された直轄工事の落札状況を監視し、落札率が低下していないかどうかを調査する。このほか▽個別企業への聞き取り調査▽建設業景況調査▽新労務単価フォローアップ相談ダイヤル▽施工単位当たりの市場取引調査▽賃金水準に関する市場取引価格調査―などの手段で、発注者、元請け・下請け、技能労働者の各段階における実態を把握する。日本建設業連合会など建設企業側で行う実態調査も活用する。
 9月までに調査結果をまとめ、業界団体に対する再要請の実施など、必要な対策を講じる。直轄工事の落札状況の監視など、一部の調査は9月以降も継続的に実施する。

提供:建通新聞社