国土交通省は11日に開いた「都市再構築戦略検討委員会」(委員長・奥野信宏中京大学理事)に、人口減少や高齢化に合わせた都市構造の再構築に向けた新たな施策を実施すべきなどとする中間報告案を示した。地方都市では、住宅取得段階のインセンティブや集約立地を進める民間事業者に対する税財政・金融支援により、集約型の都市構造を実現すべきと指摘。。大都市では、郊外部の高齢化に対応するため、既存ストックを活用して医療・福祉機能の立地を促すよう求めている。
中間報告では、従来の都市政策の多くが人口増とそれに伴う開発圧力の抑制が課題であった時代に構築されたものであり、国の都市政策を人口減少を前提にしたものへと転換し、まちづくりの主体である市町村に政策の方向性と具体的な施策を示すべきだとした。
地方都市については、拡大した市街地で人口減少が進み、生活利便性が低下したまちで雇用確保が困難になって企業が撤退したり、社会保障費やインフラ更新費の増加と住民税収や固定資産税の減少が同時に進み、地域活力が衰退するなどと予測した。
地方都市を集約型の都市構造にするための戦略については、開発行為や建築行為に基準適合を求める土地利用制度のみでは不十分だとし、誘導策と土地利用計画制度によるパッケージの施策を講じるべきと指摘。誘導策としては、地域の核となるエリアへの住み替えを促進する住宅ローン減税や金融支援などのインセンティブなどを例示。市街地における集客施設の立地に対しては、民間事業者のリスク低減に役立つ金融支援などを講じることも必要だとした。
一方、大都市の都心部では、アジア諸国の経済的台頭で、日本の三大都市の存在感が相対的に低下したことを問題視し、外国語対応の医療・教育施設を整備したり、官民共同のシティセールスを講じるべきとした。
また、大都市の郊外部では、高齢化に伴って激増する医療介護需要に対応するため、既存ストックを活用した医療・福祉機能を適切に立地する必要性を訴え、UR団体などを活用したモデル事業を拡大するよう求めた。
提供:建通新聞社