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2013/07/12

労務単価の在り方検討へ 災害時の迅速な設定方法等 国交省

 国土交通省は、技能労働者の就労形態や公共工事の積算体系の変化を踏まえ、公共工事設計労務単価の在り方を検討する。技能労働者の日給月給制の浸透や新たな積算手法である「施工パッケージ型積算方式」の導入など、労務単価をより現在の公共工事の実態に沿った形へと改善する方法を探る。東日本大震災の復旧・復興工事で入札不調が多発していることを踏まえ、災害発生時に迅速に適正な労務単価を設定する手法も検討する。見直しの方向性を議論する有識者会議を設ける見通しだ。
 国交省と農林水産省が定める公共工事設計労務単価は、公共工事に従事する建設労働者約20万人を対象に、毎年10月の賃金支払い実態を調査。算出された単価は、公共工事の発注者が予定価格の積算に活用する。
 ただ、国交省は2012年10月から、直接工事費を積算する際に、施工単位ごとに機械経費・労務費・材料費を含んだ施工パッケージ単価を使用する新たな積算方式を導入。設計労務単価を使った積算の割合が従来より減少することも予想されるため、労務単価の在り方をあらためて検討する必要がある。
 一方、災害発生時の労務単価の迅速な算出方法についても検討する。東日本大震災では、復旧・復興工事の本格化に伴い、急激な人手不足で労務単価が実態と乖離(かいり)し、入札不調が激増したことから、国交省では、被災3県の労務単価の更新頻度を従来の年1回から3カ月に1回に見直した。
 今後、発生が懸念される南海トラフ巨大地震や首都直下地震などに備え、大規模災害発生時の賃金急騰に対応できるよう、既存の調査結果や経済指標などから迅速に単価を設定できる手法を検討する。
 改善の方向性は、有識者らが参加した検討会でも議論する。国交省は08年度にも「公共工事設計労務単価のあり方検討会」を設置して、一人親方の実態把握方法の明確化や、技能労働者の技能水準の評価、資格審査の厳格化、民間・小規模工事の調査への反映といった具体策を示していた。

提供:建通新聞社