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2013/07/17

「設計者・発注者にリスク」 構造設計者らが適判の問題訴え

 国土交通省の社会資本整備審議会建築分科会建築基準制度部会は16日、構造計算適合性判定(適判)の効率化に向け、制度に関係する適判機関、構造設計者、特定行政庁からヒアリングを行った。ヒアリングでは、構造設計者が、適判機関の判定員ごとに判定基準や審査の着目点が異なり「同じ機関でも指摘内容に整合がとれていないケースがある」などと主張。本申請前の事前相談・事前審査が十分に行われないため、設計者や発注者は、本審査の段階で工事費増額やスケジュール変更などのリスクを背負っていることも問題視した。
 建築基準制度部会は、確認検査制度や適判制度の効率化について検討しており、16日の会合では適判に関係する▽日本ERI(適判機関)▽千葉県建設技術センター(同)▽構造計画プラス・ワン(構造設計者)▽千葉市(特定行政庁)―の4者を集め、それぞれの立場から実務上の問題点などをヒアリングした。
 その中で構造設計者の構造計画プラス・ワンは、基本計画段階以降に行う事前相談が「書面のみ」にとどまる場合を挙げながら、対面方式で行えば「設計者と判定員の意見交換ができ、担当判定員の判断基準を事前に把握できる」と説明。併せて「事前相談だけでは全ての問題点の洗い出しは困難」として、本申請前の「事前審査」で問題点を把握することの重要性を訴えた。
 また、適判機関の日本ERIは「適判機関ごとに判定日数と審査レベルに差異が生じている」などとした上で、複数の適判機関が指定されていても、規模制限などで実態上は一つの機関にしか判定を依頼できない地域があることを問題視。
 実質的な複数機関の選択や、適判と確認検査のワンストップ化の実現によって「全国をカバーする適判機関が参入できれば、競争原理が働き、審査の工程管理や審査全般の『質の向上』が期待できる」との見方を示した。

提供:建通新聞社