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2013/09/12

「災害対応ロボットセンター設立を」 国の防災・減災懇談会に提言

 政府の「ナショナル・レジリエンス(防災・減災)懇談会」が10日に開かれ、「災害対応ロボットセンター設立」を提案する淺間一東京大学大学院教授や、防災のための「異種の道ネットワーク」に取り組んでいる米田雅子慶応大学特任教授らに対するヒアリングが行われた。淺間教授は、災害対応やインフラ長寿命化対応を旗印に、国家予算を投入したロボット技術育成の必要性を指摘。国土強靭(きょうじん)化本部の直属の組織として「災害ロボットセンター」を設置し、実証実験やオぺレーター訓練、災害時対応などに充てることを提言した。
 ロボット技術について淺間教授らが自治体に聞き取り調査したところ、原発事故などでがれきの除去に当たる無人化施工機械・作業用ロボット、インフラの点検や調査を行う陸上探査・作業ロボットなど、人が行うことが困難だったり、不可能な作業などに多種多様なニーズがあったという。
 現実はプロトタイプの開発まで進んでいるものの実用化には至っていないとし、淺間教授は「ロボットや機器の『作る』『使う』を継続的に行えるよう組織・拠点・制度が必要だ」と話した。具体的には組織としての「災害対応ロボットセンター」を設け、一元的に技術開発戦略を策定・企画・マネジメントし、機能評価・認証などを行いながら、国交省や防衛省のフィールドを利用し、ロボット・機材の運用・管理、実証試験、オペレーター訓練を実施する構想を示した。
 また淺間教授は、災害対応ロボットは官需がほとんどであり、企業努力だけではビジネスとして成り立たないと強調した。その上で、国家予算を投じて、平時でも使う用途開発を並行して進めることが重要であり、将来的には資源探査ロボットや建設用の半自律作業ロボット、情報化施工ロボットなどへの波及が期待できるとし、国土強靭化施策に位置付けるよう訴えた。
 一方米田教授は、山間地に公道以外にも、民間の林道や農道、企業の事業用道路などが存在することを紹介した後、それら「異種の道」を把握し情報共有することで、災害時に避難や救援の道路として有効活用できるとし、岐阜県飛騨地方での取り組みや、民間企業による低コストで壊れにくい道の技術開発が進んでいることを説明した。また、防災だけでなく森林再生などの効果もあると訴え、地域再生基盤強化交付金の対象を民間道などに拡大する事業は、単純な費用対効果ではなく総合的な事業評価を行うよう提案した。

提供:建通新聞社