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2013/11/18

元請けからのしわ寄せ15・7%経験 国交省・下請取引等実態調査

 国土交通省が行った「2013年度下請取引等実態調査」で、元請けから不当なしわ寄せを受けた経験があると答えた下請けの割合(しわ寄せ率)が15・7%となったことが分かった。前回調査と比べ1・1ポイントの増加。発注者からのしわ寄せ率は2・3ポイント減の5・7%となったが、このうち公共機関からのしわ寄せを訴える回答が41・3%となり、民間企業を抜いて最多となった。国交省は、今回の調査で指導の必要があると認められた1万3548社(96・6%)に指導票を送って是正措置を要請。悪質なケースや未回答業者は立入検査も行い、取引の実態を確認する。
 下請取引等実態調査は、無作為で抽出した全国の建設業者1万6219社を対象に実施した。回収率は87・5%で、事業活動を終了した企業を除く1万3949社を集計の対象とした。
 今回の調査で、建設業法に基づく指導を行う必要のない「適正回答業者」の割合は1ポイント増の3・4%となり、過去5年で最も高い数値となった。都道府県別で適正回答業者が最も多いのは熊本県の8・3%で、反対に適正回答業者が1社もいなかったのは、秋田県、島根県、高知県の3県だった。
 資本金別元下間のしわ寄せ率は「3000万円未満」が18%と最多で、「3000万円以上5000万円未満」の14・2%、「5000万円以上1億円未満」の10・4%、「1億円以上20億円未満」の5・4%と、企業規模の小さい業者ほどしわ寄せ率が高い傾向にある。しわ寄せの内容は「工事着手後の契約」が最も多く31・5%で、「指し値による契約」の23・5%、「書面による契約の拒否」の22・5%が続いている。
 発注者からのしわ寄せ率は2・3ポイント減の5・7%。発注者別の内訳は、公共機関などが41・3%、民間企業が37・2%、個人が15・8%などだった。
 建設業法などの順守状況を調査項目別に見ると、下請け契約を書面で適正に見積もり依頼した業者は73・2%だが、見積もりを依頼する際に必要な全項目を提示した業者は12・8%にとどまった。下請け契約の追加・変更で、契約を締結した割合は77・9%だが、このうち見積もり依頼を書面で行う業者は58・2%にとどまっている。
 また、今回の調査で新設した「技能労働者の賃金水準」の項目では、賃金水準を「引き上げた(予定含む」との回答が36・6%あった。引き上げの理由には「公共工事設計労務単価の上昇」を挙げる業者が21・1%と最多だった。
 社会保険の加入状況については、3保険(雇用保険、健康保険、年金保険)すべてに加入している企業は92・2%で、未加入企業のうち62・8%が「今後加入する予定」と答えた。この調査は資本金1000万円以上の建設業を対象としており、国交省では「資本金1000万円以下の企業に、未加入企業が多い傾向がある」とみている。

提供:建通新聞社