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2013/11/25

建築三会 設計監理業の適正化など共同提案

 日本建築士会連合会(三井所清典会長)、日本建築士事務所協会連合会(日事連・三栖邦博会長)、日本建築家協会(JIA・芦原太郎会長)は、無登録業務や一括再委託の禁止、書面契約の義務化、管理建築士の責務明確化など「設計・工事監理業の適正化」に向けた共同提案をまとめた。22日に開いた会見で、三会の会長は「適正な契約を履行するために、今回の提案はどの項目も必要不可欠」と位置付けた。今後、法制化を見据えて、関係機関などとの協議や説明を進めていく方針を示した。
 建築物に関する現行の法制度では、設計・工事監理業務を担う建築士と建築士事務所の役割や責任が不明確であり、建築紛争の増加・長期化などが社会的問題となっている。この問題の根底には、規制が十分でない一括再委託の実施や口頭でのあいまいな業務契約などがあるとし、契約の在り方を含めた制度の改善点をまとめ提案した。
 業務適正化に向けて新たに法制化が必要な提案事項として▽無登録業務の禁止の実効化▽一括再委託の禁止▽書面による業務契約の締結義務化▽業務契約に当たっての契約当事者の責務の明確化▽管理建築士の責務の明確化▽設計・工事監理業に関する消費者保護の充実▽建築士事務所の登録時の名称ルール化―の7項目を盛り込んだ。
 日事連の三栖会長は「設計・監理業務の一括再委託(丸投げ)は業務の質の低下を招き、責任の所在が不明確となる。建築主、消費者保護の観点からも禁止を徹底すべき」と訴えた。
 さらに、三栖会長は建築士事務所と建築主の間で合意内容を証明した書面での契約が、現行法では義務化されていない点を指摘。建築紛争が生じ、訴訟が長期化する案件が増えている現状を踏まえ、「当事者双方が合意の上で対等・公平な契約を締結し、その内容を書面で交付することが求められる」と持論を展開した。
 法制化への道筋については、かねてから日事連が制定を目指してきた「(仮称)建築士事務所法」の枠組みではなく、「三会合意の下、士法の改正によって国民の理解を得ていく」(士会連合会・三井所会長)との方向性を示した。日事連は、建築士事務所業務の適正化や消費者保護を図るため「資格者法の建築士法と、業法の建築士事務所法の両輪体制の確立」を目指してきたが、三会で議論・検討を重ねた結果、その方針を転換することとなった。
 また三会は、リフォーム分野などで建築士の成りすまし事案のトラブルが発生していることを受け、「建築主等への情報開示の充実」に向けた提案事項をまとめた。提案は▽建築士資格の情報開示方法の充実▽建築士免許証明書の改善▽定期講習の見直し▽免許証明書と定期講習の連動―の4項目で構成している。
 情報開示の手法について、三井所会長は「消費者団体からの要望などを踏まえ、顔写真付きのカード型免許証明書の携帯やインターネットの活用などを推進していくべき」と述べた。
 現状の建築士名簿は、死亡と推定される建築士が相当数登録されているなどの課題を抱えている。このため三井所会長は「定期的に本人照合を実施するほか、免許証明書に5年の有効期間を導入することで、より直近の実態把握に努めたい」と改善の必要性を強調した。

提供:建通新聞社