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2013/12/20

首都直下対策 大前提は耐震化率向上 全壊棟数15%まで軽減

 政府の中央防災会議首都直下地震対策検討WGがまとめた最終報告書には、被害軽減に向けた防災・減災対策も盛り込まれている。住宅の耐震化率を現在の79%から100%に引き上げると、被害想定で示した全壊倒壊数を15・4%、死者数を13・6%まで軽減できると推計している。
 建築物の被害は、倒壊による死者だけにとどまらず、火災の延焼、避難者の発生、災害廃棄物の発生などの被害拡大の要因につながる。このため、あらゆる対策の前提として耐震化を推進する必要があると指摘。
 被害想定では、住宅の耐震化率を現在の79%のままだとした場合、都心南部直下地震の揺れによる全壊棟数は17万5000棟、死者数は約1万1000人と予測。耐震補強や建て替えを進めて耐震化率を100%まで引き上げると、全壊棟数が約2万7000棟、倒壊による死者数を1500人にまで減少させる効果があるとしている。
 また、報告書では、出火防止対策を強化する必要性についても言及。感電ブレーカーや漏電ブレーカーの設置、住宅用火災警報器設置率の向上などを図れば、消失棟数を約43万棟から約2万1000棟、火災による死者8900〜1万6000人を400〜800人に減らすことができると推計している。
 延焼被害を防止するため、基盤施設の整備が遅れている木造住宅密集市街地における道路拡幅をはじめ▽避難場所として活用する公園・河川整備▽無電柱化▽避難路の整備―などの重要性も指摘。これらの対策に加え、政府全体の業務継続体制の構築などの取り組みでBCPの実効性を100%まで高めることができれば、被災地・全国の経済被害約95兆3000億円を約45兆円に半減できるともしている。

提供:建通新聞社