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中央ニュース

2013/12/26

社会資本の維持管理・更新費 20年後は最大5・5兆

 国土交通省の社会資本メンテナンス戦略小委員会が25日までにまとめた答申で、同省が所管する社会資本の維持管理・更新費に関する将来推計が明らかになった。維持管理・更新費は、現在の年間約3兆6000億円から、10年後には約4兆3000億〜5兆1000億円、20年後には約4兆6000億〜5兆5000億円に増加すると見通した。同省が維持管理・更新費を正確に把握するための推計を行ったのは今回が初めて。
 将来推計の対象は、国交省、地方自治体、地方道路公社、水資源機構が管理する▽道路▽治水▽下水道▽港湾▽公営住宅▽公園▽海岸▽空港▽航路標識▽官庁施設―の10分野。維持管理費は施設機能を維持するために必要な点検・調査と補修・修繕費、更新費は機能低下した施設の取り替えと再整備に必要な費用と位置付けた。
 推計の特徴は、実績や予測式をベースに更新時期を設定した。例えば、橋梁の耐用年数は、財務省令で60年と定められているが、実際には60年以上健全度を保つことも多い。このため、今回の推計では、これまでに更新した施設の実績や予測式を加味し、更新が必要な施設の数量を積み上げるなど、正確性に配慮して費用を算出した。国交省は今回の将来推計について「この額の予算が必要になるということではなく、この推計を最大値として、技術開発や長寿命化することで費用の圧縮を図ることが求められる」と話している。
 社会資本メンテナンス戦略小委員会の答申では、今後の維持管理・更新について、分野横断別の施設情報などをデータベース化することで長寿命化の取り組みに役立つ「社会資本情報プラットフォーム」の構築を提言している。
 このほかにも▽点検・診断に関する資格制度の確立▽点検診断に関する専門技術者組織の創設▽応急・大規模・高度な技術が必要な案件への国の代行措置▽中小規模の市町村の行政区域を越えた新たなメンテナンス組織体制の確立▽老朽化対策における新技術等の活用―の必要性を訴えている。
 
提供:建通新聞社