構造計算適合性判定制度(適判)の見直しや木造建築基準の緩和を柱とする建築基準法改正案が7日に閣議決定された。適判は、建築主事の審査から独立させ、建築主が指定構造計算適合性判定機関などを選択して直接申請できる仕組みとし、申請者と審査者の負担を軽減する。新たな判定員の確保に向け、資格者検定制度も創設する。エレベーター事故などの建築物に関する事故・災害が発生時の国の調査権限を強化し、国土交通省に立入検査などを行う権限を持たせる。
構造計算書偽装問題を受けて導入された適判は、建築主が建築主事などに申請し、その後、建築主事などが適判機関か都道府県に判定を求める。法改正では、適判を建築主事などの審査から独立させ、建築主が指定構造計算適合性判定機関に直接申請できる仕組みにあらためる。
許容応力度等計算(ルート2)の対象となる小規模住宅・工場などについては、建築主事が審査する際に適判の対象から除外することも認める。適判の質を確保するため、資格検定・登録で判定員を継続的に確保できるよう、資格者検定制度を創設する。
定期調査・検査報告制度も強化する。定期報告の報告率の向上が課題になっていることを踏まえ、不特定多数や高齢者が利用する建築物など、政令で指定する特定建築物については、1級・2級建築士などによる定期調査・報告を義務付ける。
建築物の事故・災害対策を徹底するため、国土交通省に建築物の調査権限を与える。国交省が関係者からの報告徴集や立入検査を自ら行う。
また、延床面積3000平方bを超える木造建築物に求められる主要構造物を耐火建築物か準耐火建築物とする規制を緩和し、火災発生時に延焼を防止するように区画した場合には、耐火構造以外の木造建築物を認める。
提供:建通新聞社