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2014/03/20

建設業の災害対応力維持「上位企業絞り込み必要」 地域建設産業の在り方で提言 CIICなど

 建設業情報管理センター(CIIC)と建設業技術者センター(CE財団)が設置した「地域建設産業の在り方検討委員会」は、岩手県と愛媛県をモデルとした地域建設産業の今後の在り方に関する提言をまとめた。岩手県では、東日本大震災の復興後の供給過剰を解消するため「上位ランク企業数の絞り込み」を提言。絞り込みで企業の小規模化を避け、災害対応力の維持につなげるべきだとした。愛媛県については、建設産業が「地域の守り手」として、地域にバランスよく存在する必要があると指摘した。
 委員会は、地域別の建設産業の特徴を踏まえ、各地域の建設産業の在り方と建設行政の方向性を提言するために2010年度に発足したもの。
 岩手県については、復旧・復興の実現が建設行政・建設産業に求められる最大の課題としながらも、復旧・復興の収束が同時に建設投資の急激な減少をもたらし、県内の建設業が厳しい経営環境にさらされると指摘。
 一方、東日本大震災に限らず、風水害などの自然災害が多発する地域であることから、復興後の建設企業には▽人員・建設機械を迅速に集める力▽マネジメント力▽行政機関との連携―などの災害対応力が求められるとして、対応力を持つ中核企業が地域に存在する重要性も訴えている。
 このため委員会では、復興後の供給過剰状況で、中核企業が共倒れとならないよう、各地域の発注標準で上位ランクの企業数を絞り込む必要性を提言。県内の土木Aランク企業を売上高の上位社に絞り込むシミュレーションを行ったところ、技術者1人当たりの売上高の改善、企業の小規模化抑制などの効果がみられたという。
 絞り込みを進める具体策としては、過度な低価格競争による疲弊を避け、災害対応力や技術力を重視した企業評価の導入、企業合併の誘導、下請けに転換する企業の保護などの施策を示している。
 愛媛県については、建設投資額がピーク時の半分以下の4000億円程度に落ち込んだことが、建設企業の利益率低下と規模縮小、建設業従事者の減少と高齢化などを招いていることを問題視。その上で、工場地帯が多い東予地域、第3次産業の比率が大きい中予地域、山間地が多い南予地域の特色を踏まえ、地域の守り手として建設産業を育成するべきとした。
 建設業界に対しては、建設業従事者の所得水準や休暇取得率の向上、社会保険加入の促進などに取り組むとともに、インフラの維持管理や住宅リフォームなどの分野への進出を提唱。国・県・市町に対しては、インフラの老朽化対策などの投資計画や優先順位を示し、地域建設企業に将来的な見通しを示すよう求めた。

提供:建通新聞社