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2014/04/01

巨大地震に備え、方向性示す 廃棄物対策でグランドデザイン 環境省の検討委員会

 巨大災害発生時に発生する膨大な災害廃棄物を処理するための事前の十分な備えが必要―。環境省の「巨大地震発生時における災害廃棄物対策検討委員会(酒井伸一委員長)」は、巨大地震発生時における災害廃棄物対策のグランドデザインの中間取りまとめを行い、巨大災害の発生に向けた対策のあるべき方向を示した。検討会は「膨大な災害廃棄物の円滑な処理の確保」など5項目を提示。「仮設処理施設の設置を考慮した仮置き場の確保」などそれぞれの項目ごとに巨大災害特有の課題に対する具体的な取り組みについて基本的方向性を示した。
 検討会が事前に備えるべき災害廃棄物対策の方向性として提示したのは▽膨大な災害廃棄物の円滑な処理の確保▽東日本大震災の教訓を踏まえた発災前の周到な事前準備と発災後の迅速な対応▽衛生状態の悪化・環境汚染の最小化による国民の安全・健康の維持▽強靭(きょうじん)な廃棄物処理システムの確保と資源循環への貢献▽大規模広域災害を念頭に置いたバックアップ機能の確保―の5項目。
 その上で、新たに策定した「災害廃棄物対策指針」と対比させ、巨大災害特有の課題に対する具体的取り組みの基本的方向性を、「発災前」「(発災後の)初動期・発災後数日間」「応急対応期(前半)〜3週間程度」「応急対応期(後半)〜復旧・復興期〜3年間程度」―の四つに時期を区分して整理した。
 「膨大な災害廃棄物の円滑な処理の確保」については、巨大災害が発生すると想定していた仮置き場の必要面積が不足すると指摘。発災前に地域ブロック単位で災害廃棄物の発生量を推計して必要となる仮り置き場の面積を算定、市町村が仮り置き場の候補地リストを作成するよう促した。
 また、既存の廃棄物処理施設の不足によって処理が停滞するとして、廃棄物処理施設の稼働状況や受け入れの意向を確認し、地域ブロックごとに受け入れ可能量を把握するよう求めた。
 仮設処理施設については、処理主体の確立や用地確保に手間取る恐れがあるとして、地域ブロック単位で候補地リストを作成するなど準備を進めておくべきだと強調。最終処分場は、受け入れ容量が不足して処理が滞ると予想し、国が、災害廃棄物を処理するための大規模な海面最終処分場の整備に関与し、跡地を利用・管理する事業主体への財政支援を行うよう要請した。
 地方公共団体には、セメント製造事業者などポテンシャルのある民間事業者の施設を活用できるよう、発災前から協力関係を構築しておくよう促す一方、国には、災害廃棄物処理の緊急性や特殊性を踏まえた特例措置を速やかに講じられるよう、災害廃棄物を受け入れる際の施設設置の手続きの簡素化などを実施することなどを求めた。
 
 
提供:建通新聞社