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2014/05/08

東京圏の鉄道整備で新答申 国交省部会で議論スタート 15年度にとりまとめ

 国土交通省の交通政策審議会陸上交通分科会鉄道部会は7日に開いた会合で、東京圏における鉄道整備計画の見直しについての検討を開始した。2000年に同省の運輸政策審議会がまとめた「答申第18号」の目標年次である15年度までの2カ年で、東京圏で今後整備すべき路線などについて新たな答申をまとめる。前回の答申でも課題になっていた混雑率の緩和や国際競争力の強化に加え、防災・遅延対策、東京五輪開催時の輸送力確保など、答申後に生じた新たな課題も論点に審議する。
 東京圏の鉄道整備の方向性を示した運政審答申第18号は、混雑緩和、速達性の向上、空港・新幹線へのアクセス機能の強化を基本方針とし、合計653`の新線や複々線化などを今後整備すべき路線に位置付けた。
 このうち、15年までの開業が適当と位置付けた「A1路線」は、総延長280`の78%に当たる218`が開業していたり、整備中の段階にある。
 08年以降の開業・整備路線でみると▽東京地下鉄副都心線(池袋〜渋谷)▽横浜市交通局グリーンライン(日吉〜中山)▽日暮里・舎人ライナー(日暮里〜見沼代親水公園)▽成田スカイアクセス線(印旛日本医大〜成田空港)▽東北縦貫線(上野〜東京)▽神奈川東部方面線(相鉄・JR、相鉄・東急直通ルート)―が答申に盛り込まれた路線だ。
 一方、東京圏の鉄道を取り巻く状況は、00年時点の見通しと大きく変わりつつある。答申第18号は東京圏の人口推計を全体で4%増、区部で8%減を前提にまとめたが、実際には全体で9%増、区部で12%増(10年時点)と大きく乖離(かいり)した。
 答申第18号の課題の一つであった混雑率の緩和は、つくばエクスプレスや副都心線の開業、東急東横線の複々線化などの効果で、ピーク時平均で176%から165%まで低下したが、過去40年間では混雑率の下落ペースは鈍化しているとの指摘もある。速達性の向上を目的に進められた相互直通運転で、遅延や輸送障害の影響が路線全体に及ぶ新たな課題も生じた。
 また、増加する首都圏空港(羽田、成田)の航空需要に備えたアクセス機能の改善、首都直下地震や浸水被害などの災害リスクへの対応、20年東京五輪開催時の輸送力確保も求められている。
 鉄道部会では、こうした課題を踏まえた東京圏の鉄道整備の在り方について、6月上旬に小委員会を設置して本格的な検討を始める。関係する鉄道事業者・地方自治体からのヒアリングを行った上で各論に入る。14年度中に中間答申、15年度中に最終答申をまとめる。

提供:建通新聞社