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2014/07/03

賃金変動把握でモニター調査 国交省

 国土交通省は、技能労働者の賃金変動を継続的に把握するための「モニター調査」を開始する。人手不足感が強い「型枠工」「鉄筋工」「とび工」の3職種を対象にモニターとなる企業を固定し、四半期ごとに従業員の賃金の平均を企業単位で報告してもらう。モニターには、公共工事をメーンに受注する企業と民間工事メーンの企業を選び、官民受注の賃金の差も調べる。同省がこれまで行ってきた賃金水準の確保策の効果の検証や、今後の確保策の検討に調査結果を活用する。
 国交省では、技能労働者の賃金水準を厚生労働省の毎月勤労統計調査や公共事業労務費調査などで把握しているが、これらの調査は、毎回対象者が異なるため、賃金の変動状況を正確に把握することは難しい。調査対象を固定して四半期ごとに賃金水準を調査することで、より正確に技能労働者の賃金の変動を把握することが期待されるという。
 調査の対象企業は、日本建設躯体工事業団体連合会、全国鉄筋工事業協会、日本型枠工事業協会の3団体に依頼し、各職種ごとに最大80社程度を選んでもらった。公共工事をメーンに受注する企業と民間工事をメーンの企業を各地方整備局のブロックごと3社程度を選び、全国的な賃金動向を把握する。
 対象企業には、直用の従業員らの8時間当たりの賃金の平均額を報告してもらう。5月の支払い分から調査を開始し、3カ月ごとに平均額を報告するよう求める。
 国交省は、2013年4月とことし2月に公共工事設計労務単価を大幅に引き上げたり、技能労働者の賃金引き上げを建設業団体に要請するなど、技能労働者の処遇改善を進めている。他産業に比べて低い建設業の賃金水準を引き上げ、中長期的な担い手確保・育成につなげるのが狙いだ。
 こうした取り組みに昨年来の労働需給の逼迫(ひっぱく)が重なり、全国的に技能労働者の賃金水準が上昇傾向にある。国交省では、技能労働者の賃金が今後も変動性の高い状態が続く可能性があるとみており、モニター調査によって賃金動向を継続的に把握し、これまでの施策の検証や新たな施策の検討に役立てる。

提供:建通新聞社