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2014/08/06

インフラ維持に「共同処理制度」 国交省

 国土交通省は5日、社会資本整備審議会・交通政策審議会の社会資本メンテナンス戦略小委員会を開き、インフラ維持管理における地方自治体の連携・支援策について、議論を始めた。国交省は、老朽化対策のニーズが高まる中、自治体同士が連携してインフラの維持管理に臨む「共同処理制度」を活用する方向性を提示。改正地方自治法に盛り込まれた「連携協約」や「事務の代替執行」を視野に、土木分野全般に共同処理制度を活用する効果を示した。
 地方自治法に基づき、複数の自治体が連携して事務を執行する共同処理制度には「一部事務組合」「協議会」「事務委託」などの仕組みがあり、下水道事業やごみ処理、などの分野で活用されている。
 ただ、従来の制度には、法人の設立が必要になるために迅速な意思決定ができなかったり、責任の所在が不明確になるほか、中心的な市町村の負担が重くなるなどの課題が指摘されている。
 一方、5月に成立した改正地方自治法では、複数の自治体で基本的な方針や役割分担を決め、連携して事務を処理する「連携協約」の創設が決まった。この制度は、執行機関としての組織を設ける必要がないため、迅速な意思決定が図れる効果などが期待できる。
 同じく、法改正で創設された「事務の代替執行」は、小規模な市町村が失効できない事務を都道府県や近隣の中核市が代行して執行する制度。事務の権限は依頼元の市町村に属したままとなるため、従来の制度と比べ、権限・責任の所在は明確になる。
 国交省は5日の会合で、下水道分野などに限られている共同処理制度を土木分野全般に活用する考えを提示。具体的には、点検・診断・評価までの業務に限定して共同処理制度を適用したり、点検業務の一括発注、軽微な維持管理工事を含めて活用することを想定する。
 また、国などによる自治体支援については、技術専門家の派遣制度や点検・診断の資格制度の確立に加え、データ管理システムを統一化して事務負担を軽減する方針。国交省の地方整備局と都道府県が連携し、市町村支援体制を充実させる方向性も打ち出した。
 国交省は、インフラ維持管理における自治体支援策について、今秋まで進める小委員会での議論を踏まえ、15年度予算の概算要求や新規施策に反映させる。

提供:建通新聞社