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中央ニュース

2014/10/21

公共事業費 新規投資厳選し規模抑制

 財務省は20日、財政制度等審議会の財政制度分科会に2015年度の公共事業予算の編成に向けた論点を示した。同省は、インフラの老朽化対策費が増加する中、新規投資を従来以上に厳選し、公共事業費の全体規模を抑制する必要性を指摘。公共事業の担い手である建設業に対しては、就業者数の減少が将来的に深刻な供給制約を招く恐れがあるとし、就業者数の現実的な見通しに立った対応を検討することを促した。地方自治体に投資判断を委ねる「社会資本整備総合交付金」については「ハコモノ」の新設を助長することのないよう、補助内容の抜本的な見直しを求めた。
 財政制度等審議会は、毎年度の予算編成の時期に合わせ、予算編成の考え方を個別分野ごとに議論し、財務相に建議する。
 公共事業費については、限られた財源で効率的にインフラの老朽化対策を進めることを前提に、国・地方がインフラ長寿命化計画や公共施設等総合管理計画を策定し、財政負担の軽減・平準化を図ることを要求。施設の統廃合を含めて計画を策定した自治体に対して予算を重点配分するなど、めりはりのある対応を図る方針を示した。
 新規投資については、社会資本の整備水準の向上と将来の人口減少を見据えると「これまでのような大きなニーズはなく、これまで以上に厳選していく必要がある」とし、民間資金の活用や技術革新を同時に進め、公共事業費の全体規模を抑制すべきとした。
 公共事業の担い手である建設業に対しては、災害復旧や除雪の担い手として重要な役割があるとしつつも、全産業の生産年齢人口の減少を反映し「入職者数が大幅に減少する可能性が高い」と予測。このことが、将来の建設市場の供給制約につながる恐れがあるとして、現実的な就業者数の見通しに立った対応や、プレキャストコンクリート製品の活用などに代表される施工の効率化などを図ることを求めた。
 また、重層下請構造の改善、社会保険加入の促進、週休2日制の普及などを例に、将来の建設業の在り方を産業政策として検討する必要性についても指摘した。
 一方、自治体の創意工夫を生かす目的で10年度に創設した社会資本整備総合交付金については、自治体側に「縦割り」が温存され、予算の重点化・効率化が十分に図られていないことを問題視。単純に「ハコモノ」として施設を新設する事例もみられるとして、老朽化対策やコンパクトシティ化を要件化する方向へと補助内容を見直すことを求めている。

提供:建通新聞社