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2014/12/15

市町村 脆弱な発注体制浮き彫り

 国土交通省が行った地方自治体向けのアンケート調査で、自治体の一部が改正品確法の趣旨に沿った発注関係事務を実施できない体制にあることが、あらためて浮き彫りになった。技術職員不足や要綱・要領が未整備であることを理由に、設計変更ルールや最低制限価格制度などを適切に運用できていなかったり、予算の制約があるなどとして「歩切り」を行っていると答えた自治体も17%あった。国交省は今回の調査結果を踏まえ、地方整備局単位で発注機関を集める発注者協議会などを通じ、自治体の発注体制を支援する方策を2014年度中にまとめる。
 改正品確法では、各発注者が発注関係事務を適切・効率的に運用することを発注者の責務と位置付けたが、若手職員の減少、退職者増加に悩まされている自治体は多い。国交省は、改正品確法に基づく運用指針で、改正法の趣旨に沿って発注関係事務を行うための共通ルールを示すとともに、十分な体制を整備できない発注者に対する支援策を検討している。
 調査は、各自治体の発注体制と技術力の実態と求められている支援策を把握するために行った。全都道府県・市町村の64・8%に当たる1159団体が回答した。
 発注体制については、市区の14%、町の55%、村の86%が技術職員がゼロと回答。技術職員5人未満の自治体も市区で9%、町で31%、村で51%あった。一方、職員向けに技術研修や講習会を開いていない市区は75%に上り、町村ではほとんど開かれていない。
 発注関係事務の現状をみると、要綱・要領が未整備であることを理由に、低入札価格調査基準や最低制限価格を適切に設定できていない自治体が24%あった。工事の発注準備の段階では、歩切りを行っている自治体の割合が17%。歩切りを行っている理由には、予算上の制約を挙げるところが62%に上る。
 また、入札契約段階では、不正行為の防止などを理由に、予定価格を事前公表する自治体が48%と約半数に上った。最低制限価格・低入札価格調査基準価格を事前公表していたり、未導入の自治体も40%ある。
 国に望む支援策としては、市町村に比べて体制が整っている都道府県は基準類の共有や相談窓口の常設などを求めているが、市町村はノウハウの共有や研修の開催といった「人的サポート」を求める傾向が強い。
 国交省では▽相談窓口の設置▽総合評価方式の演習・講習会▽工事検査への自治体職員の臨場立会▽発注支援機関の認定―といった地整ごとの取り組みを全国に展開する考え。具体的には、各地整などでつくる発注者協議会を活用し、国・都道府県・市町村の連携を強化する。

提供:建通新聞社