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2015/01/22

太田国交相インタビュー 安定予算の継続を

 国土交通省の2015年度当初予算案が固まり、来年度の公共事業費は前年度の水準を維持することになった。10年以上にわたる公共事業費の減少に歯止めが掛かり、安定的、持続的に社会資本整備を進める道筋がようやく見え始めた。社会資本整備の担い手である建設産業にとっても、市場の先行きを見通せる環境が整いつつあることには大きな意義がある。来年度予算案の決定を受け、太田昭宏国交相が建設専門紙などの共同インタビューに応じた。
 ――建設産業の役割と将来像をどうお考えですか。
 「私は現場で汗を流す人が尊いと感じられる日本にしなくてはいけないと感じており、建設産業はまさにそれを具現化する職業だと思っている。
命を守る公共事業、地方創生や都市再生の担い手でもあり、地域の町医者″としての役割も果たしている。今後もこれらの役割を果たしてもらうためには、建設産業に従事する方々の処遇を改善し、誇りを感じてもらわなくてはならない。経営者にも、安定的、持続的に仕事があるという見通しを示す必要がある」
 ――15年度当初予算案の編成にそういった考えは反映されたのでしょうか。
 「国交省はこの2年間、防災・減災、老朽化対策、メンテナンス、耐震化の分野に50%以上の予算を配分してきた。15年度当初予算案でも、この4分野に重点化した予算編成を継続させた」
 「公共事業費についても、徐々に増やしていくか横ばい、あるいは波を打たないような予算をこれからも編成していくことが望ましいと強く感じている。技能労働者の処遇についても、これまで2度にわたり公共工事設計労務単価の大幅な引き上げを行った。さらに、昨年10月の調査結果を受け、1月中の見直しに向けて最終調整を進めている」
 ――災害の激甚化が顕著になっています。今後の防災・減災対策の進め方は。 「経済戦略は大事だが、国土全体でその部分をしっかりと支えることの重要性がどうしても忘れられがちだ。国交省は、国土の脆弱(ぜいじゃく)性に対する危機感を訴えなくてはならない」
 「1時間50_を超える降雨や、これまで降雪が少なかった地域に大雪が降る事態が頻発している。災害の新たなステージ″に対応し、従来の行政による行動指南型に加え、状況情報の提供による主体的避難型へと、防災・減災対策のかじを大きく切る一年にしたい」
 ――インフラの老朽化も喫緊の課題です。
 「これまでの取り組みで意識変革はできたと思っている。昨年は、各省に先駆けてインフラ長寿命化の行動計画を策定したり、道路橋・トンネルには5年に1度の近接目視をルール化した。インフラの維持管理を効率的に行うため、モニタリングシステムやロボットの開発を推進する現場検証も始めている」
 「地方自治体には、防災・安全交付金による財政支援にとどまらず、基準・マニュアルの整備や人材を育成するための研修の充実も図っている」
 ――東北の復興加速化に向けた意気込みを聞かせてください。
 「復興を実感してもらえることを念頭にこれまでも取り組んできた。常磐自動車道の3月1日の全線開通は被災地における復興の実感にもつながるはずだ。災害公営住宅も3月末までに約1万戸が完成する見込みで、3月以降、目に見える形で入居が進んでいくだろう」

提供:建通新聞社