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2015/04/17

所定外労働時間、売上規模大きい企業は増加

 建設コンサルタンツ協会(建コン協、大島一哉会長)は、「所定外労働時間等に関する実態調査」の結果をまとめた。年間の所定外労働時間数は、直近3カ年の全企業平均は減少しているものの、売り上げ規模の大きい企業では増加していることが分かった。これまで建コン協が国土交通省などに要望してきた3月工期の平準化の進展は確認できなかった。ノ―残業デーの推進による「社員の時間外労働の減少」効果も確認された。
 調査は会員企業431社を対象に2015年1月に実施、208社(48・3%)から回答を得た。調査結果の集計に当たっては会員の企業規模別に傾向を把握できるよう、調査結果を売上高で分類し、売上規模別で回答別割合をカウントした。
 所定外労働時間と発注時期の平準化との関係性については、「繁忙期に時間増大」が66%(前年は75%)と高止まりしており、年間の残業時間は減少したものの、平準化に進展はなく、むしろ悪化している構図が垣間見えた。深夜残業と休日出勤については、休日出勤は前年より6ポイント低く、減少に転じた一方で、深夜残業は増加傾向を示した。
 所定外労働時間の発生原因(内的原因)としては「技術者不足」(30%)が最も多く、外的要因については「業務量と工期のアンバランス」(32%)が最も多かった。ノー残業デーの実施状況については、全企業平均で「既に取り組んでいる」が前年を1割程度上回り、売上規模の大きい企業ほど実施率が高く、売上高100億円以上の企業の実施率は100%だった。
 建コン協は、これらの結果から、ノー残業デーの推進によって「社員の時間外労働の減少」効果があったと判断。働き方や仕事の進め方を改善することで、時間外労働を十分減少させることができるとみている。
 その一方で、「業務量が多く工程にしわ寄せを起こす」との会員企業からの指摘も取り上げ、過重労働に陥っている企業には、ノー残業デーの効果は「一時的な解消策(リフレッシュ)でしかない」といった側面があり、抜本的な取り組みを要する企業があることも強調している。
 他方、社員の離職状況については、最近3年間は減少傾向にあるものの、依然として「増加傾向にある」「変わらない」との回答が63%を占めた。
 離職する年代は「30代までの若年層」が56%を占め、この世代の離職問題が依然として深刻な状況であることが浮き彫りとなった。離職理由としては「業界、会社の将来への不安」「労働時間への不満」が多く、売上高40億円以上の企業では「地方公務員」への転職が多かった。

提供:建通新聞社