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2015/07/17

新国立の工事費膨張に「何とかならないのか」

 新国立競技場の国際デザイン競技で審査委員長を務めた建築家の安藤忠雄氏は16日、東京都内で会見し、2520億円に膨れ上がった工事費について「私も『もっと下がるとこないの?』と聞きたい。一人の国民として『何とかならないのか』と思った」と述べ、コスト抑制に向けた関係者のさらなる努力を求めた。
 安藤氏は、設計のベースとなるデザイン選考までが自身の役割で、設計以降の作業に関与する立場ではないことをあらためて説明。最優秀デザインとしたザハ・ハディド氏の案については「日本(の技術)なら建築できると思った」と選考時を回想するとともに、設計以降の作業から同氏を外すことは「国際協約でできない」と明言した。
 消費税増税や物価上昇による工事費の増加には理解を示しつつも、当初想定の1300億円から2520億円まで膨れ上がった現状を踏まえ、設計JVをはじめとする関係者が「(コスト抑制策を)徹底的に討論して公開しなければならない」と主張。
 また「ゼネコンも思い切って、儲からなくても『日本の国のために、日本の誇りのためにがんばる』と言ってもらえればうまくいくのではないか」と持論を展開し、ザハ案のデザインを残しながら「(工事費を)うまく下げてほしい」と語った。

【デザイン変更なら施工予定者の再選定も JSC】

 安藤氏の会見後、報道陣のとのやり取りに応じた事業主体の日本スポーツ振興センター(JSC)の鬼澤佳弘理事は、2520億円の工事費について「予想を超えた資材・労務の高騰があって、限られた工期の中で完成させ得る前提で、調達可能なコストを施工予定者と協議した結果」と説明。
 安藤氏による施工予定者の利益を度外視したコスト抑制策については難色を示しながらも、「できるだけ国民の理解を得られるような努力をしていかなければならない。最終的には財源問題なので、政府ともしっかり相談しながら進めていく」と答えた。
 また、計画の見直しに関する政府からの指示は「正式に受けている訳ではない」とする一方で、デザインを変更することになれば、ザハ案を基に決めた施工予定者を「選び直す必要も可能性も出てくる」と述べた。

提供:建通新聞社