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2015/07/21

【連載】第10回建設トップランナーフォーラム(3)

第1部の「地方の創生に挑んだ10年―縦割りを超えて地方を元気に―」では、「再生可能エネルギーと黒部宇奈月振興」と題して大高建設(富山県)の大橋聡司氏、「森林再生・農業・馬育成の津軽振興」と題して竹内組(青森県)の木村洋一氏が事例発表した。

■再生可能エネルギーと黒部宇奈月振興
大高建設社長 大橋聡司氏
大高建設 大橋聡司氏
 疲弊し続ける宇奈月温泉。富山県を代表する温泉街の新たな魅力創出に向けて、昔から地域を下支えしてきた地元建設業者がまちづくりに名乗りを上げた。
 「宇奈月温泉の歴史や黒部渓谷の大自然を生かし、宇奈月温泉にしかない物語をつくる」。大高建設(富山県黒部市)の大橋聡司社長は、再生可能エネルギーを活用して観光・地域の振興を主導し、さまざまな事業を創出した。
 大橋氏が代表理事を務める一般社団法人でんき宇奈月プロジェクトでは「自然エネルギーの地産地消によるエコ温泉リゾート構想」として、電気自動車や電動アシスト自転車、EVバスの導入や小水力発電でのエネルギー自給、地熱資源での温泉発電や温水供給等を実践。産官学が連携して新たなビジネスモデルを作り上げ、今ではまちづくりの先進モデルとして表彰を受けた。このほかにも全国小水力発電サミットが開かれるなど、同プロジェクトの波及効果は計り知れない。
 「県内でポテンシャルの高い小水力と地熱を生かしながら事業創出してきた」と振り返り、「地域建設業が事業主体となり、地域の活性化を図りつつ、新たな産業創出を図るべき」と説いた。

■森林再生・農業・馬育成の津軽振興
竹内組執行役員 木村洋一氏
竹内組 木村洋一氏
 一世を風靡(ふうび)した津軽半島の林業も、高齢化や後継者不足、国産材の売り上げ低迷などで衰退の一途をたどる。1次産業の従事者も1975年の6200人をピークに、現在は1200人と激減した。
 人口減少を食い止めるには若年層の雇用確保が急務≠ニ考えた竹内組(青森県中泊町)の竹内忠義社長は、建設業の仕事が減る冬場の通年雇用に向け、複業の育成が必要不可欠と決意した。
 「1次産業が復活しなければ、地域の再生はあり得ない」「会社は地域と共存できなければ地域から理解を得られない」。地域への感謝の気持ちを常に持ち続け、「本社の本体事業が安定している今だからこそ、複業化を推進しなければ」との強い信念を抱き、ペレット製造や輓馬飼育・堆肥製造、サクランボ栽培、介護事業にと複業(新分野事業)に挑み続けた。今後もわさび栽培や菊芋焼酎の販売を見据えた菊芋栽培などの展開を目指す。
 今後も大きな夢と希望を持ち、高度な栽培技術の習得と雇用安定に向けて、地域に合った複業に積極的にチャレンジする。林業で栄えたころの中泊町を取り戻すべく、地域と共存できる企業を目指していく。