国土交通省と都道府県の働き掛けにより、5県の全市町村がいわゆる「端数処理」を含めて歩切りを撤廃したことが確認された。予定価格の漏洩を防ぐために無作為の係数を乗じたり、事務の効率化のために端数を切り下げる端数処理は、国交省が「極めて少額にとどまるときはやむを得ない」との見解を示しているが、この見解を上回る「予定価格と設計書金額を同額」とする取り組みが自治体に広がりつつある。
端数処理を含めて歩切りを撤廃したのは、石川県、愛媛県、栃木県、大分県、宮崎県の全市町村。愛媛県では、県と県内20市町がことし1月から「完全撤廃」することで合意。石川県は、歩切りの実施が確認されていた県内8市町と県が個別に交渉し、4月から全19市町で撤廃に踏み切った。
一部の市町村で歩切りが行われていた宮崎県では、品質確保協議会での周知や県の個別交渉により、7月から県内26市町村で端数処理を含めて歩切りを撤廃した。
国交省は、4月に発表した歩切りの実態調査で、歩切りを行っていると答えた自治体757団体(端数処理などの297団体含む)を対象にフォローアップ調査を行っており、24日を回答期限としている。回答の結果は公表し、依然として歩切りを行っていると疑われる自治体には今秋から個別で改善指導を行う。個別の指導にも応じない場合、早ければ年内にも自治体名を公表する。
提供:建通新聞社