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2015/08/25

【連載】加入率100%へ〜大詰め迎える建設業の社保対策(3)

【連載・建通新聞社】
加入率100%へ〜大詰め迎える建設業の社保対策(3)

■現場の加入指導 システム上で

MCデータプラス 秋山光輝代表取締役社長 社会保険料の原資である法定福利費を正確に算定するためには、現場に入退場する労働者数を把握することが不可欠であり、効果的・効率的な仕組みづ くりが求められている。すでに民間の中には、現場の入退場管理や社会保険の加入チェック機能などを備えたシステムを構築・運用している企業もある。その最 大手が、クラウド型システムサービス「グリーンサイト」を運営するMCデータプラス(東京・港区)だ。同社の秋山光輝代表取締役社長にシステムの仕組みや 今後の展開などを聞いた。

 ―グリーンサイトの仕組みと現状について聞きたい。
 「労務安全書類を電子的に作成・提出・管理するために、 元請け企業や協力会社の皆さんが加入する会員制のクラウドサービスで、現在は約70社の元請け企業に利用いただいている。協力会社の皆さんは約2万 9000社が加入されている。労務安全書類に関係する事務量の軽減がシステムの目指すところだ」

 ―社会保険の加入チェックなど、システムはどのような機能を備えているのか。
  「施工体系図や施工体制台帳を自動作成したり、記入漏れをチェックできる。例えば、1次下請けと2次下請けの間での工期の違いなどを自動的にチェックす る。もちろん、社会保険加入の確認にも活用が可能だ。元請け企業には下請け企業への加入指導が求められているが、その指導もサイト上で行うことができる。 現場ごとの協力会社の加入状況を確認したり、加入指導やその内容を記録する機能を備えている」

 ―グリーンサイトを運用していく上で心掛けていることは何か。
  「システムを構築すると、管理する側と管理される側が出てくる。どちらかの意見だけを聞いて構築してもうまく運用できない。わたしたちが心掛けているの は、管理する側と管理される側の双方にとってフェアであることだ。関係する法律の趣旨などに基づいてデザインしないと良いシステムとは言えない。わたした ちが新しいサービスをリリースする時に常に考えるのは、拠り所があること。社会保険について言えば、国民皆保険という大前提がそれに当たるだろう」

 ―今後はどのようなサービスを展開していくのか。
  「わたしたちのコールセンターには、月間で1万件以上の電話が寄せられている。使い勝手の指摘などで、それらをリスト化した上でバージョンアップを重ねて いる。また、今後は蓄積してきたデータを基にした新たなサービスを提供したい。元請け企業、協力会社、労働者に対するサービスを展開していくつもりだ。元 請け企業と協力会社のサービス利用が車の両輪のようにバランス良く増えていくのが理想だ」

 ―現場の労働者の技能と経験を見える化する「就労履歴管理システム(仮称)」についてどう考えているか。
  「日本の建設業が継続的に発展していくために担い手を確保するんだ、という趣旨に賛同している。協力していきたいというのが基本的なスタンスだ。元請け企 業や協力会社など、建設業界はさまざまな立場の企業から成り立っている。それぞれの立場を踏まえたシステム構築が求められると考えている」