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中央ニュース

2015/10/09

私たちの主張、高校生作文コンクール 国土交通大臣賞(1)

「建設業の未来を担う高校生の君たちへ」国土交通大臣賞

「夢」
松尾 麗(長崎県立鹿町工業高校土木技術科1年)

 「建築士の免許を取ろうと思う。」

 私が中学生の時、母が突然言いだしました。
それまで専業主婦である母の姿しか見たことがなかった私は、すぐに諦めるだろうと半信半疑でしかなかったのですが、私の予想に反し、母は家事が終わると毎晩遅くまで勉強を続け、ついには本当に免許を取り、建築士として働くことになりました。

 家事や育児をしながら働くのは大変です。しかも、母の仕事は工業系の男社会。毎日疲れていたに違いありません。しかし、母はとてもいきいきとして楽しそうに働いていました。私は母の変化に驚きつつ、「そんなにやりがいのある仕事なんだろうか。」と工業系の仕事に興味をもっていきました。

 元々、ものづくりが好きで中学校の技術の授業が得意教科だったのもあり、母の姿にあこがれの気持ちを抱いていたので、鹿町工業高校に進学し、工業の勉強をしたいと思うようになりました。そして合格後、無事に土木技術科に進学したのですが、学級に女子が一人という環境にとても不安を感じ、卒業までやっていけるのだろうかと自信をなくしてしまいそうでした。

 そこで、母に土木の仕事について色々尋ねることにしました。やはり、女性の社員がとても少なく、力仕事も男性と同じようにしなければならない大変なものだそうです。

 しかし、その苦労以上にやりがいがあると話してくれました。物を作る仕事は、完成すると形になり、結果が目に見える。何よりも利用者の方々から感謝されると、この仕事をしていて良かったと思えるそうです。

 これらの仕事をするには、国家資格が必要になります。そのため私の通う高校では、入学してすぐに第二種電気工事士の補習が朝と放課後に始まりました。初めの方は、とても辛くて、どうして土木技術科なのに電気に関する勉強をしないといけないんだろうと思うこともありましたが、二ヶ月間頑張ってきた成果が出て、結果、合格することができました。このことは、涙が出るくらい嬉しかったです。これから先、測量士補や二級土木施工管理技術検定などの資格試験があります。これらの試験も一生懸命努力して必ず合格したいです。

 私は今まで、建設に携わる職業は、力仕事で女性には向かないというイメージでした。確かに、私は女性だから男性に力は劣るかもしれません。しかし、仕事の効率や見た目の綺麗さ、正確さなど女性だからこそできることがこの職業にもあると思います。私は十年後立派な技術者になり、女性である私にしか創ることのできない自然環境に配慮した、人々が豊かに生活できる土木構造物・建築物に出会っていきたいです。