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中央ニュース

2015/12/01

危機管理型ハード対策を はんらんへ答申案

 国土交通省の「大規模氾濫に対する減災のための治水対策検討小委員会」(委員長・小池俊雄東京大学大学院工学系研究科教授)は30日に第2回会議を開き、答申案「社会意識の変革による『水防災意識社会』の再構築に向けて」をまとめた。はんらんの発生を前提に、社会全体で備えることを基本方針とする内容。決壊までの時間を少しでも引き延ばす堤防構造の工夫など、危機管理型ハード対策の実施などを盛っている。
 検討委は、鬼怒川の堤防が決壊した関東・東北豪雨災害を受けて10月30日に設置された。大規模はんらんに対する減災のために、「速やかに実施すべき対策」と「速やかに検討に着手し、早期に実現に図るべき対策」を検討してきた。
 速やかに実施すべき対策に挙げたのは、減災のための危機管理型ハード対策の実施。堤防整備などの従来型の河川整備を着実に進めるべきとした上で、当面の間、治水安全度の向上が困難な箇所では、決壊までの時間を少しでも引き延ばすような堤防構造の工夫(堤防法尻部の補強や天端保護など)を優先して行うこととした。
 ソフト対策として挙げたのは、避難勧告に着目したタイムラインの整備・訓練、家屋倒壊危険区域の早期公表と住民周知、想定浸水深の表示など。
 一方、速やかに検討に着手し、早期に実現を図るべき対策は、現行の制度や枠組みに基づく対策では限界があることを踏まえたもの。このため、洪水浸水想定区域データのオープン化や、内水による浸水も考慮した洪水浸水想定区域への改良、住民が行動しやすいハザードマップへの改良などに着手すべきとしている。
 ハード対策については、「防災はハード対策、減災はソフト対策」としたこれまでの取り組みにとらわれることなく、「危機管理型」としてソフト対策と一体的・計画的に推進することを提言。また、河川整備計画について、「はんらんが発生した場合の被害軽減」を目的に追加したり、「施設能力を上回る洪水による水害リスクを考慮した危機管理型ハード対策」を組み込んだ内容にすべきとした。
 この他、はんらんの切迫度が伝わる水位情報提供システムの開発、リアルタイムで浸水区域を把握する技術開発、減災を目的とした堤防などの施設構造の研究、ダムへの流入量の予測精度向上への取り組みの必要性を挙げている。

提供:建通新聞社