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中央ニュース

2015/12/05

落橋防止装置の溶接不良で再発防止策

 国土交通省は4日、京都府内で発覚した落橋防止装置の溶接不良を発端として設置した有識者委員会を開き、再発防止策の大枠を固めた。今回の不正が装置の製作会社と、製作会社と契約した検査会社によるものであったことから、再発防止策では、元請けによる品質管理体制を強化するため、元請けに第3者である検査会社と直接契約する方針が示された。また、国交省が行った調査で、新たに製作会社11社が不正を行ったことも報告された。
 落橋防止装置の溶接不良は、ことし8月に京都府内にある国道24号勧進橋で発覚。同橋の耐震補強工事で落橋防止装置を製作した久富産業が溶接作業工程の一部を意図的に怠ったことに加え、同社と契約した検査会社の北陸溶接検査事務所が不良データを隠ぺいした可能性も指摘されている。
 国交省は、久富産業の製品を設置した国交省・高速道路会社・地方自治体が管理する橋梁を調査したところ、357橋で新たに不良が発覚。さらに、久富産業以外の製作会社が製作した製品に対する調査でも別途43橋で不正を見つけ、久富産業以外に不正を行った製作会社11社を特定した。
 再発防止策の柱は検査体制の強化だ。落橋防止装置のうち、溶接線に直角な方向に引張応力を受ける溶接継手の内部きずは継手全長を対象するよう見直す。これまで製作会社が契約していた検査会社は、元請けが公正性を疑われない第3者の検査会社と直接契約する形に改める。
 元請けは、製作精度や溶接作業の状況を管理・記録する品質管理体制を構築するなど、プロセス管理について施工計画書に明記し、発注者に提出する。発注者は、元請けにISO9001を取得した製作会社と検査会社の利用も促す。
 これまで事業ごとに頻度や内容を設定してきた発注者による検査も強化し、抜き打ち検査の実施に加えて、非破壊検査の専門家を同行させることも検討する。
 4日の委員会では、溶接不良があった落橋防止装置の補修・補強の基本方針も決定。落橋防止装置の取り替え・追加設置に加え、溶接不良部分の再溶接(完全溶け込み溶接)、既設装置の改造(補強部材の設置)で、設計上求められている強度を確保すべきとした。

提供:建通新聞社