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2015/12/14

大規模はんらんに備え8000億 国交省

 国土交通省は、直轄河川での大規模はんらんに備えたハード対策を2020年度までに集中実施する。優先的整備が必要な区間約1200`で堤防嵩上げや浸透対策、当面の間は堤防整備に至らない区間約1800`で「危機管理型ハード対策」を行うもので、必要額として8000億円程度を見込んでいる。また、各地域で河川管理者や自治体らで構成する協議会を設置し、減災のための目標を共有することにしている。
 これらの取り組みは、11日に発表した「水防災意識社会 再構築ビジョン」に盛り込まれたもの。全ての直轄河川とその沿川市町村(109水系、730市町村)でハード・ソフト対策を一体的・計画的に進める内容となっている。
 ハード対策のうち、流下能力が著しく不足していたり、漏水の実績があるなど、優先的整備が必要な区間約1200`bでは堤防の嵩上げの他、ドレーン工や護岸、遮水シートの設置といった浸透・浸食対策を講じる。整備には6000億円程度が必要だという。
 被害軽減を目的とする危機管理型ハード対策は、天端の保護や裏法尻の補強により、決壊までの時間を少しでも引き延ばせるよう、堤防を粘り強い構造とするもの。上下流バランスなどの観点から、当面の間は堤防整備に至らない区間約1800`が対象となる。必要額として2000億円程度を見込む。
 これらのハード対策について同省では現在、実施箇所・内容の精査を進めている。具体的な内容は近く公表される見通しだ。
 一方、ソフト対策では「住民目線」を意識。住民の主体的な避難を促す内容とした。具体的には、16年の出水期までに水害リスクの高い約400市町村でのタイムライン(防災行動計画)策定を目標に掲げた(現時点で約200市町村が策定済み)。また、スマートフォンを活用したプッシュ型の洪水予報の配信、洪水リスクが高い区間での水位計やライブカメラ設置などにも早期に取り組む。
 再構築ビジョンは、10日の社会資本整備審議会答申「大規模氾濫に対する減災のための治水対策のあり方について」を受けて策定した。

提供:建通新聞社