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2015/12/22

社保未加入対策「高齢者の離職招く」

 日本型枠工事業協会(日本型枠)の三野輪賢二会長は、18日に開かれた社会保険未加入対策推進協議会の中で、技能労働者の処遇改善を目的に行われている未加入対策が「現実には高齢者を離職させる本末転倒の事態を招く」と問題提起した。三野輪会長によると、55歳以上の型枠工事業の技能労働者は全体の36%に上る。この年齢層が厚生年金に新たに加入しても受給資格が得られないと考え「他業種に移ることになってしまうのでは」との懸念を示し、高齢者への配慮を本格的に議論する必要性を訴えた。
 現在、厚生年金の受給資格としては最低25年間の保険料納付が求められる。ただ、2012年に成立した「社会保障と税の一体改革推進法」が17年4月1日に施行されれば、10年以上の保険料納付で老齢基礎年金の受給資格を得られるようになり、新規加入で厚生年金を受給できる年齢層は確実に広がる。
 ただ、三野輪会長は「55歳以上の年齢層は10年後には恐らく引退する。受給資格に満たない場合もあるのではないか」と問題視した上で「未加入対策の目的は健全な専門工事業の育成にあったはず。高齢層への配慮をあらためて考えてほしい」と国土交通省などの関係者に求めた。
 また、日本型枠協がこの5年間行っている実態調査について「昨年度までの4年間は順調に加入率が伸びてきたが、15年度調査は前年度と比べて1ポイントしか伸びていない」と述べた上で、社会保険に新たに加入した企業が保険料を納付できず、未加入に戻るケースも出てきているとして「こうした状況では、今後、加入率が下がることもあり得る」と指摘。国交省に対し、協議会のワーキンググループなどの場で具体策を検討するよう強く求めた。

提供:建通新聞社