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2015/12/22

i―Con普及へ産官学の連絡会設置

 国土交通省は19日、復興加速化会議を仙台市内で開き、復旧・復興事業の円滑な施工対策の在り方について意見を交わした。この中で国交省の石井啓一大臣は被災3県に適用している復興係数を2016年度も継続することを表明。ICTをフル活用する「i―Construction」の普及に向けた連絡会議を本年度中に新設した上で、16年度に復旧・復興現場で試行する方針も示した。
 復興加速化会議は、復旧・復興事業の施工確保対策を検討する場として13年3月に初会合を開催。それ以降、年2回のペースで国交相が出席のもと会合を開き、直轄仮設プラントの設置や復興係数による間接工事費の補正、発注見通しの統合化、公共工事設計労務単価などの適用前倒し、災害公営住宅工事確実実施プログラムの展開といった新たな対策を次々に打ち出してきた。
 6回目を迎えた今回は、国交省から石井大臣のほか、池内幸司技監、谷脇暁土地・建設産業局長、由木文彦住宅局長、川瀧弘之東北地方整備局長らが出席。被災自治体からは村井嘉浩宮城県知事、達増拓也岩手県知事、畠利行福島県副知事、奥山恵美子仙台市長らが顔をそろえた。
 被災自治体からは「復興係数の導入や労務単価の前倒し適用をはじめとした施工確保対策の効果は極めて大きく、ぜひ継続してほしい」(村井知事)、「復旧・復興工事はピークを迎えており、特例措置の継続が必要。また、資材価格や労務費の高騰により当初想定していた事業費の増額が必要となるケースも多く、予算を確保してほしい」(達増知事)、「復興係数・復興歩掛などの継続に加え、生産性の向上、事業の平準化が求められる」(畠副知事)、「施工確保対策は労働者確保や資材調達の面からとても有効。安定的な予算確保もお願いしたい」(奥山市長)などと、いずれも施工確保対策の継続と復興に必要な予算の確保を求める声が上がった。
 これを受けて石井大臣は「復興は順調に進捗しているが、引き続き着実に進める必要があると実感した。復興係数の継続についてはわたしも重要な事項と考えている。しっかりと受け止めて継続した上で、全力で復興に取り組む」と明言した。
 復興係数は、工事量増大による資材やダンプトラックの不足などにより、作業効率が低下していることを踏まえ、間接工事費(共通仮設費・現場管理費)を割り増す仕組み。被災3県で施工する全ての土木工事を対象として、共通仮設費を1・5倍、現場管理費を1・2倍に補正しており、予定価格を6%〜8%引き上げる効果がある。
 一方、労務単価改定のタイミングや前払金の被災地特例の取り扱いは、実態調査などの結果を踏まえて今後対応するとした。復興係数以外の施工確保対策についても、本年度中に方針を示す方針だ。
 また、人口減少が顕著で担い手不足が懸念される東北で、復興を着実に進展させる観点から、ICTを積極的に活用した生産性向上にも取り組むこととした。調査・設計・施工・検査・維持管理というプロセス全体にICTを適用する「i―Construction」を普及させるため、本年度中に(仮称)震災復興「i―Construction(ICT技術)」連絡会議を新設。メンバーは国交省、被災3県(岩手、宮城、福島)・仙台市、建設業団体、有識者で構成する。
 2016年度には▽三陸沿岸道路の宮古北地区道路(宮城県)▽北上川での震災復興▽小名浜港での岸壁浚渫―での活用を想定。このうち宮古北地区道路では、ドローンによる写真測量・3次元データ作成、マシンガイダンス(MG)3D、トータルステーション(TS)出来形管理などの技術を全面的に活用する方向で調整を進めていく。
 さらに、11月に発足した「建設産業担い手確保・育成コンソーシアム」(東北)と連携しながら、東北技術事務所の施設を活用した技能者向けの基礎的な講習を新たに始めるほか、技術者教育も継続する。

提供:建通新聞社