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中央ニュース

2016/01/21

労務単価 全国全職種平均4・9%増

 国土交通省と農林水産省は20日、2月1日に適用する公共工事設計労務単価を発表した。全国全職種(49職種)の平均は前年度比4・9%増の1万7704円(伸び率は単純平均、金額は加重平均)と5年連続で上昇し、単価の上昇が始まった2012年度比で34・7%増加した。単価の引き上げ措置を行っている東日本大震災の被災3県における全職種平均は7・8%増。同省直轄工事では前年度と同様、旧単価で予定価格を積算し、2月1日以降に契約する工事にも新単価を適用する特例措置を講じる。
 公共工事の積算に使用する労務単価は、技能労働者の所定労働時間8時間当たりの基本給と基準内手当て、1日当たりの臨時給与と実物給与で構成。公共事業労務費調査で有効標本が確保できなかった「屋根ふき工」と「建築ブロック工」は単価を設定していない。
 例年4月に適用していた労務単価は、労務費調査で把握した最新の実勢価格を迅速に反映するために2014年2月から前倒しで適用しており、今回で3年連続の前倒しとなる。技能労働者の社会保険加入を徹底するため、13年4月改訂から行っている法定福利費相当額(本人負担分)の加算も継続した。
 全国全職種平均の労務単価は、1997年度に1万9121円とピークを迎えて以降、10年以上にわたって下落傾向が続いたが、2012年度以降、5年連続で前年度を上回った。今回改訂された単価は、前年度の伸び率(4・2%)を上回るとともに、ピーク時の1997年度の単価の92・6%まで回復した。
 職種別の全国平均は前回改訂に続き、躯体系の伸びが目立った。鉄筋工が6・1%増、型枠工が6%増、とび工が5・9%増となり、いずれも前回改訂時の伸び率を上回った。地域別では、首都圏・近畿圏の伸びが鈍化した一方、地方部の伸びが顕著になった。5年連続の労務単価の引き上げ効果が地方にも浸透した格好だ。
 被災3県では、13年4月の改訂から行っている実勢価格の上昇傾向が強い職種に対する5%の引き上げ措置を今回も継続して適用。今回は49職種中35職種に引き上げ措置を適用し、全職種平均で岩手県7・8%増、宮城県7・7%増、福島県7・8%増と、いずれも全国平均を上回った。
 国交省は、今回の労務単価引き上げを踏まえ、建設業団体に技能労働者の賃金引上げを要請することも検討している。

提供:建通新聞社